「rooms25」Vol.2<地場産>:岩手の六原張り子『さわはん工房』

今回の「rooms25」は、「+ NEXT(プラスネクスト)」をテーマに、
「日本の活性化」に焦点を当て、日本発のファッションを
強く発信している所に注目です。
その象徴となるのが、地場産業に焦点を絞った<地場産>エリアの設置。
日本各地に埋もれている“きらりと光る”ブランドや企業を掘り起こし
地域に根差した優れた商品をピックアップしました。
<地場産>には、福島の伝統工芸品、
すみだの地域ブランド「すみだモダン」など約30社が出展。
その中で、岩手の「六原張り子」を作り続けている『さわはん工房』と、
岩手で制作活動をしているブランド『コシェルドゥ』を取材しました。


・・・・ファッションの展示会では初めてという実演も行った
「さわはん工房」の澤藤範次郎さん・・・・

『コシェルドゥ』と初めて出会ったのは、昨年1月のIFFでした。
鳥やウサギのファンタジックなバッグに惹かれ取材。
もともと『コシェル』は、下北沢を拠点に
ご夫婦でユニークなバッグを製作していましたが
その後、奥様でデザイナーの澤藤詩子(さわふじ うたこ)さんの
ご実家のある岩手へと移住。

ご実家は「六原張り子」という、民芸品の張り子を作る『さわはん工房』です。
お二人はこの「六原張り子」の技術や漆の技術を学びながら
張り子技術を応用したバッグやアクセサリー作りを始めました。
そして立ち上げたのが『コシェルドゥ』です。


・・・・左のブースは『コシェルドゥ』、
右のブースは実演を行っていいる『さわはん工房』・・・・

今回の「rooms25」は、師匠でもあるはりこ作家のお父様
澤藤範次郎さんの『さわはん工房』との、父娘のダブル出展となりました。
『さわはん工房』はインターネットで見て気になっていましたが、
本物の作品を見て、その大胆でおおらかな表現にノックダウン!
“民芸品”の域を広げた、スゴイ作家だと思いました。


・・・・石膏型に糊をつけながら「成島和紙」を貼り重ねる
“裏張り”の技法で形を作ります・・・・


・・・・石膏型から抜いた張り子の型は、約1日乾かします・・・・

「六原張り子」は、「さわはん工房」のオリジナル技法です。
岩手県花巻市の東和地区に生息するコウゾの木の皮を原料とした
「成島和紙」という温かみのある手漉きの和紙を使用し、
石膏型の裏面から紙を貼り重ねる “裏張り”の技法で形を作ります。
「成島和紙」は南部藩の御用紙として使われ、
300年以上の歴史を持っている和紙。
農家が厳寒期に手作業で作っていたことから
「北限の和紙」とも呼ばれています。
厳しい環境で作ることから、丈夫な和紙としても知られていますが、
現在では作っているところがかなり少ないようです。


・・・・張り合わせた張り子のわんこ・・・・


・・・・最後は着色です。伝統的な色使いが基本です・・・

範次郎さんは、父である竜輔さんに師事し、張り子作りを学びました。
「六原張り子」の“裏張り”の技をあみだしたのは、父の竜輔さんです。
「父の張り子面を越えたい!」その強い思いが
新しい創作への挑戦だったようです。
範次郎さんにはもう一人師匠がおりました。
彫刻家の丸山震六郎氏です。
“タダの職人”では終らない“作家魂”が
進化し続ける作品を生み出しているのだと思いました。


・・・・「耳くらべ」(19×12×10cm)・・・・


・・・・「両手招き猫」(20×11×11cm)予約しました!・・・・


・・・・「赤みみずく」(15×12cm)無印良品の福袋に使われました!・・・・

範次郎さんの制作にかける思い・哲学は、
このごろ草子」というご自身のブログからよく伺うことができます。
「伝統」「老舗」の看板を背負いながらもの作りをしている方には
とても参考になるいいブログだと思いました。
一部をご紹介します。

<引用始め>
昔の職人は一つの技で一生食えたんじゃないかと思う。
若い頃に弟子入りし、何年かの修行を経て自立すると、
大概はそれで死ぬまで大丈夫。良くテレビに出る飾り職人も大工も。
それもそうだ。何しろ人生50年。
それに加えて世の中に変化がないから、のんびりしたものだろう。
ところが今はどうだ。自立してから50年も作り続けなければならない。
その上時代の変化が激しくて、昔覚えた技が20年後には通用しない。
かくして一生勉強ということになる。
生活様式が変わる。価値観が変わる。美意識が変わる。
それについていくのも大変だが、
変わることを予期して予め勉強するのも大変だ。
私の張り子も昔と随分変わった。
昔のママだったら、今頃は終わっていただろう。
そして、これからも変わることだろう。
<引用終わり>


・・・・「鯛車」何とも愛らしい・・・・


・・・・とぼけた表情の起き上がり小法師の「福助」「猫ひげ」。
「犬」や「猿」などの干支もそろっています。
この絵は作風が少し違うのでもしかして娘さんご夫婦かな?・・・・


・・・・範次郎さんの作品は、おおらかでユニークな表現が魅力です・・・・

このブログを読んで、ますます範次郎さんの張り子のファンになりました。
この範次郎さんの“創作魂”は、
娘さんの澤藤詩子さんや、ご主人の小笠原禎さんにも受け継がれています。
ご夫婦は、六原張り子の技術を受け継ぎ、
張り子人形作りに携わりながら、張り子の技術で
『コシェルドゥ』のオリジナルバッグやアクセサリーを作り続けています。
今回の「rooms」では、家に巣を作ったツバメの親子をテーマに
またしても愛らしいバッグを提案していました。
その様子は次回お伝えします。

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「rooms25」Vol.2<地場産>:岩手の六原張り子『さわはん工房』 への4件のフィードバック

  1. bwrd のコメント:

    楽しく拝見しました!
    いっしょに見たのに、見ていなかった(笑)
    見れば見るほど、愛着がわいてくる作品ばかりですね。
    鯛車が気に入りました。かわいい。

  2. bwrd さま
    展示会などの取材は、私もその時に気がつかなかったものが
    あとで色々整理したり、調べたり、資料を見てわかることも多いのです。
    結構手間がかかりますが、丁寧な取材はいろいろ勉強になります。
    また、ご一緒してください!

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  4. ピンバック: 新年おめでとうございます! | Textile-Tree 編集長ブログ

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