編集長ブログ

私の意識を高めた、百田尚樹の『海賊とよばれた男』

いつか紹介しようと思っていました。
ふだん、あまり小説は読まないのですが
百田尚樹の『永遠の0(ゼロ)』に出会った時に、
小説の魅力にひき込まれました。
ゼロ戦のパイロットとして、特攻隊として戦死した
祖父の軌跡を辿る話です。
ゼロ戦の事、大東亜戦争などの解説を
分かりやすく挟みながらの物語は、
歴史を知る上でもとても勉強になり
また、小説のストーリー構成にもぐんぐん引き込まれ
とてもドラマチックでした。
(『永遠の0(ゼロ)』は映画化され今年の12月頃公開のようです)

すごい作家がいるものだなあと思い
次に読んだのが『海賊とよばれた男』でした。
上下2巻の大作ですが、読みはじめからいきなり心を掴まれます。
電車の中での読書が多い私は、
恥ずかしくなるくらい何度も目頭を熱くしました。

 

主人公のモデルは出光興産の創始者の出光佐三。
登場人物はすべて実存するノンフィクションです。
まだ石油が大きなエネルギーとして注目されていなかった時代、
懸命な努力と大きな力が支えてくれたおかげで
会社を興す事ができ、事業に成功します。
しかし、戦争で何もかもなくしていまします。
(話はそこから始まります)

 残ったのは借金だけです。
売るものもなく、仕事も全くない状況…
重役たちからは店員(社員)をリストラしようと提案されますが
店主(社長)は「事業をすべて失ってしまったが、
わが社には店員という素晴らしい財産が残っている」といい
一人も首切りはしませんでした。
戦地に行っている店員にも給料を払い続けていました。
就業規則もない、出勤簿もない会社です。
「店員は家族と同然である。
信頼し、苦しい時はお互いに支え合うのは当たり前」
これは店主ばかりではなく、店員の行動にも
その精神があらわれていました。

「会社は誰のものか」「商売とは何か」を、
あらためて考えさせられます。
国のため、国民のためという大前提があり
自分たちの商売があるという考え方にも感動を覚えました。
だからこそ困難に遭遇したとき、苦しい時にも行動がぶれません。
日々の暮らしに追われ、「夢や希望」というものが
どんどん小さくなっている中で、私たちが失いかけている
日本人の素晴らしさを教えて頂いたような気がしました。
「もっと頑張りたい!」という気持ちが湧き
「志と気概」という言葉が、大きく膨らんだ
素晴らしい本でした。

それにしても本当にスゴイ人物がいたものです。
「出光」に対する見方も変わりました。
出光美術館にも行ってみようと思います。