ギャラリア風の巣の「渡辺弘子の布絵展」Vol.3

広島県福山市の「ギャラリア風の巣」で開催された
「渡辺弘子の布絵展」(2014年6月6日~24日)の第3弾です。
第3弾では、弘子姉さんの暮らしをモデルにしながら
早瀬の昔ながらの暮らしを綴ったものをご紹介します。


・・・サンタフェスタイルのとても居心地のいいギャラリーです・・・

第1弾はこちら

第2弾はこちら

弘子姉さんの布絵は、写真で見るより
実物の方がずっと感動的です。
様々な布や独創的なテクニックが使われており
「あれっ、ここはどうなっているのかな?」
「あっ、こんな使い方をするんだ!」
という発見と驚きがあるからです。

私も写真ではよく見ていますが、
実物を見るのは初めてという作品もあります。
何しろ1990年頃から布絵制作をはじめ
100点余りの作品があるのですから。


・・・『絣さまざま』:備後絣の地・福山での開催に因み、
急遽追加して送った作品。義母さんが絣を扱う商売をしていて
全国のたくさんの絣が残されていました。その様々な絣を用いて
まるで見本帳のように24点の絣美人を描いたものです・・・


・・・弘子姉さんの人物はちょっとした仕草や
足のポーズが何ともいえず色っぽいのです・・・


・・・“おたやん”は、布絵を始めて間もない頃に
題材にしたシリーズです。おたやんに自分を投影し、
日常の自分の姿や「こうありたいなあ…」という
憧れの姿を描きました・・・


・・・『お彼岸』:家のすぐ近くの瑞林寺の境内に
「代受苦」と書かれたお地蔵さんがあります。
悩み事があるときはお地蔵さんにお参りして
苦しみを和らげてもらいます 。
よくお参りしたそうです・・・


・・・『縁側』:縁側で縫い物をしているおたやんです。
縁側で好きな縫い物を楽しそうにしている
様子がうかがえます・・・


・・・『ふきつみ』:家の隣りが三宅酒蔵という造り酒屋で、
ふき畑があり、2階からよく見えました。その酒屋の奥さんが
ふきを刈っている様子を作品にしたものです・・・


・・・ふきの茎はよく見るといろんな布が使われています。
微妙な色彩を意識した縞柄です。下地になっている布は、
昔の蚊帳(かや)です。4月にフランスの
「キルトEXPO・ボージョレ2014」に出品した時に
「日本人はみんなこんなにお尻が大きいの?」
という質問があったようです(笑)・・・

『歳時記』もぜひ実物を見ていただきたい
作品のひとつです。
弘子姉さんが体験したり見てきた
昔ながらの早瀬の春夏秋冬の暮らしが
12枚の布絵で綴られています。
「キルトEXPO・ボージョレ2014」
大変お世話になったフランス在住の今城崇江さんが
この作品を見て「遠近手法」が素晴しいと
とても評価してくださいました。

『歳時記』は、まるで一眼レフカメラで写したように
人物に焦点が当てられていますが
後ろの背景は少しぼやけてうっすらと表現されています。
背景を布絵で作り、その上に透け感のある
蚊帳地(かやじ)を重ねてぼかしながら奥行きを出し、
遠近感のある四季の暮らしが描かれます。
とてもシンプルな可愛らしい布絵ですが、
様々な布の特徴を生かした細部の表現がとてもみごとで
絵の具では表現できない
「布」ならではの質感に魅了されます。


・・・『花まつり』4月:お釈迦様の誕生を祝う花まつりは、
子供たちにとっても楽しいお祭りです。大きな像の山車を引いたり
あま茶をいただきます・・・


・・・『菖蒲湯』5月:菖蒲湯に入っている二人の男の子は
弟たちでしょう。向こうには鯉のぼりが元気に泳いでいます。
遠くの鯉のぼりや家々が蚊帳地でぼかされたとても
手の込んだ作品です・・・


・・・『七夕』7月:何をお願いするのでしょうか。子供たちの
愛らしい姿がよくあらわれています。縁側や障子に蚊帳地を
重ねてぼかされていますが、障子の向こうのガラス戸もさらに
透けているのがわかる、二重・三重の重ねのぼかしテクニックです・・・


・・・『初日の出』1月:お正月は港に出て初日の出を拝みます。
美しい日の出と朝焼け、それが海に映っている様子など
本当にうっとりする作品です・・・


・・・『日々是好日(ひびこれこうじつ)』:
「日々是好日」とは「辛い日も悲しい日も、
どんな日も感情や状態を味わって過ごせば
かけがえのない日になる」というような意味です。
お姑さんの介護などに明け暮れていた時代、
親子人3で暮らせる日を夢見て描いた作品です・・・


・・・親子3人の“普通の暮らし”が夢でした・・・


・・・真ん中の絵は子供が寝てようやく夫婦二人になった
ひと時です・・・


・・・子供と過ごす時間は本当に楽しいひと時でした・・・

今城さんは、『歳時記』の作品には
日本独特の“四季折々の暮らし”が凝縮されており、
まずこの『歳時記』を絵本として出版して欲しいと
嬉しいメールをくださいました。


・・・『まなざし』:布絵を初めて間もない頃の作品です。
1977年頃に赤ん坊だった息子をおいて入院しました。
その時の我が子を思い出して制作しました・・・


・・・下地の布は、江戸時代末期の麻の肩当てを使いました。
着物は、知り合いの方から頂いた絽の絞り染めです・・・


・・・『鯖割り』:京都に鯖を運んだ若狭の美浜町は
特に鯖文化が発達し、「焼き鯖」「へしこ」「鯖寿し」など
独特の鯖の郷土料理が生まれ、若狭の生活には欠かせない
ものとなっています。この作品は鯖をぬか漬けにした
「へしこ」という保存食を作る「鯖割り」という作業です。
内臓をきれいに取り除き腹と表面に塩をふります。
弘子姉さんはお姑さんとよく魚を割ったそうです・・・


・・・ 手にしているのは鯖を洗う時に使う竹で作った
「ささら」という道具です。これを使うと
魚の身を崩す事がありません・・・


・・・『魚干し』:渡辺弘子の作品には夫婦がよく登場します。
モデルは自分たちが多いようです。この作品も魚好きの夫婦が
仕事の合間に干物を作っている生活のスケッチです。
漁村である美浜町早瀬では、魚干しやワカメ干しの光景が
よく見られました・・・


・・・『小春日和』:長男が生まれて、日々忙しくしてい
た頃を思い出しての作品です。洗濯板、子供のおしめや
金太郎腹巻きなど、子供への愛情が漂ってきます・・・

弘子姉さんの布絵を出版して欲しいという声も
あちこちから聞かれるようになりました。
若狭地方の小さな漁村、早瀬の暮らしは
4月のフランスの展示会で、海外の方たちにも
感動を与えることを知ることができました。
たくさんの方達にこの素晴しい日本の暮らしと
「伝統的な日本の布」の素晴しさを伝えるためにも
そしてこういう暮らしをなくさないためにも
本気で出版を考えなくてはならないかもしれません。

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