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ポーラ美術館"Modern Beauty"(byあをやま)

こんにちは、あをやまです。
今回はファッションイラストと絵画についてのレポートです。
箱根のポーラ美術館で9月4日まで開催の
“Modern Beauty”展を観て来ました。
ファッションと絵画、化粧道具を絡めた展示です。
行ったのはお盆休み前の平日でした。
展示の内容からか比較的空いていて
観やすかったです。

ファッションが目まぐるしく変化した
19世紀後半から20世紀前半にかけてが中心でした。
産業が大きく発展して社会情勢が変化著しい時代ですね。
現代服の基盤が出来たのは、
いわゆるアールデコの時代です。
日本では大正ロマン、モガの時代と言えば
身近に感じるでしょうか。
コルセットを外してドレスを着るようになりました。

その頃の絵画は印象派からキュビズムに移行します。
が、印象派とファッションは
ちょっと結びつかないんですね。
絵画は日本人には馴染み深いですけどね。
モネ、マネ、ルノアール、ゴッホ、
ゴーギャン、セザンヌ、ドガ・・・。
私は長い間、教科書に載っていた
印象派の画家達の中では、
強烈なエピソードを残すゴッホが
その代表だと思っていました。
ここ数年はモネがそれに取って変わっています。
と言うのも彼の作品「印象、日の出」から
「印象派」と言う呼び名が付いたと言うくらい、
ザ・印象派と言える作品ばかりだからです。

それまでの絵画は宗教、神話、
歴史上の人物などを取り上げていました。
スケッチは屋外、制作は屋内と分けていたそうです。
モネは若い頃、ブーダンと言う画家に会い
屋外で制作する意義を知ります。
以降一貫してその姿勢で制作しました。
一途なんですね、泣かせます。
印象派と言うと「光を描く」とか
「色の分析」など描き方で見てしまいがちです。
しかしなぜその対象物を描くのか、
どう捉えていたのか、
そういう目で見るとモネ作品の多くは
「時代」を描いていたのではないかと思えます。
時としてジャーナリストの目で
描いていたように見えます。
大なり小なり、画家はそういうところが
あるとは思いますけどね。
「睡蓮」が有名すぎて、
他の作品が隠れていたみたいですね。

コスチュームやアクセサリー、化粧道具を鑑賞する女性から
「素敵」とか「欲しい」「高そう」
と言う声が聞こえました。
男性は緻密な製品やデザインの面白さに目を引かれたり。
風刺画では、和訳タイトルと照らし合せて
笑ってる人が多かったです。
でもファッションプレートはちょっと控え目でしたね。
特にアールデコ期のファッションプレートは
ファッション雑誌のような写真印刷ではなく、
いわゆるステンシルなので色がとても綺麗なんですよ。
イラストレーターも個性的で、ウキウキものです。
でもああ言う会場ではイマイチ反応がないようで。
本来は手元で観るものだから、
他展示物の迫力に圧されたかな。

「ほんとはもっと良いんですよ~」と宣伝したくなります。

時代を理解した上で絵画に描かれた女性像を見る。
すると女性の生き方が見える。
それがファッションに繋がっている、
と解釈できた展示でした。
この展示は説明文が結構あります。
勉強になるのでじっくり読んでみると良いんですが、
展示物も多いので1回ザッと観て気になる所を
じっくり観るのが良いかな。混んでなければ。

図録は2600円、A3の変型(正方形)です。
最近はコンパクトな図録も増えてるから
「大きいな!」とひるんでしまいましたが、
予想外に軽く、肩にかけられるバッグが付いて来るので
安心して購入しました。
発送も200円~と良心的です。よく考えてますね。
箱根ですからね。
美術館だけで帰る人はそうそういませんもんね。

最後に美術館収蔵の絵画を
ハイライトで観せているコーナーがありました。
その中にモネの師匠であるブーダンの作品があり、
マジマジと観てしまいました。
美しい風景画です。
モネの原点。ジーンと来ました。

なんと企画展を出ると、陶芸品やアールヌーヴォー、
アールデコ期のガラス作品が展示されていて、
こちらも見応えあります。
子供向けか、わかりやすい説明文付きでした。
ここではガレの作品と説明文が印象に残りました。
彼は日本の絵画や工芸品に強い影響を受けていますが、
意匠(デザイン)の奥にある日本人の精神を理解し
共感してくれてたんだそうです。

「ありがとう!」と
言わずにはいられません。(心の中で)

余談ですが、1930年代の”VOGUE “の広告にあった
ガラスの香水瓶が展示されていて、
テンションが上がりました。
デザイナーはスキャパレリ、香水名は「ショッキング」、
うまいネーミングです。
一瞬、ゴルチェかと思いました。
ほんとにドッキリですよ。

前日の夕方箱根に向かう小田原で、
小さな「彩雲」を見ました。
誰も気がついてないようでした。
一人で見るのはもったいない気がしました。
印象派ならキャンバス立てて描くところでしょうか。