Archive for 12, 2010

本当のエコとは…『リネン日記』語録

2010/12/16

私の大好きなブログのひとつに
近江の麻の老舗の「林与」さんの社長が綴る『リネン日記』があります。
こつこつとひたすら毎日の仕事を通じ
その日の出来事や感じたことを綴る地味なブログですが
なんと今では1日1000件以上のアクセスがあるといいます。

麻への思い、織機への慈しみ
麻を織る仕事が、いかに手間ひまと愛情をかけて織られていくのか…
ものを作る人間の思い、哲学が日記を通じ、心にずきずき伝わってきます。
ファッション業界の方はもちろん、そうでない多くの方にも
読んで頂きたい素晴らしいブログです。

林社長の言葉は、きらきら輝いています。
先日、エコのことを書いていたので少しご紹介します。
「エコの精神からすれば、
新しいものに買い替えを促しては駄目なのは当たり前です。
普段使っているものを、買い換えるときに
エコなものを選択するというのが 大事だと思います。
大事に長く使うことがエコの基本だと思います。
強制的なリサイクルの裏には大きなエネルギーの消費があります。」

こういう考えのもとに作られているのが、林与さんのリネンのキッチンタオルです。
リネンタオルは吸水性に非常にすぐれているのが特徴ですが
さらにごしごしと洗って汚れを落とせるものをと考え
この大判の厚手のリネンタオルができました。

25番手の太い糸のリネンをシャトル織機で高密度に織ります。
1時間に1〜2mのスピードでしっかりきっちり織ったものですから
丈夫で何十年も使える優れた品質です。
使いはじめは硬いリネンの風合いですが
使い込んでいただくうちにだんだんと柔らかくなってきます。
はじめから柔らかく仕上げたものではなく
何年も使い込んで柔らかくしていだだくような
「長くお付き合いいただく」リネンキッチンタオルだといいます。

こういう「使い込んで馴染む」という暮らし方を、取り戻していきたいものです。
「いいものを長く使う」ことで
「ものを大切」にし「ものへの愛情」を養うことができます。
それが本当のエコにつながってくるとあらためて感じました。

残念ながらこのリネンのキッチンタオルは売り切れ状態。
今頃せっせと林与さんで織られていると思いますので
もう少しお待ちくださいね!

「島精機」のハイテクで創るニット!

2010/12/15

「ジャパン・ベストニット・セレクション」(以下JBKS)にも参加していた
株式会社 島精機製作所」をご紹介します。
島精機さんは「ホールガーメント」の編み機で世界的にも有名なメーカーです。
ご存知のようにホールガーメントニットウェアは
一着まるごとの状態で編み機から直接、立体的に編成される画期的な製品です。

実は「Textile Tree」でも今回の「テキスタイル用語辞典」制作では
島精機さんに大変お世話になっているのです。
JBKSの会場には東京支店長の雑賀(さいか)さんや前澤さんなどもいらして
ホールガーメントのデモンストレーションをされていました。

前澤さんがホールガーメントの説明をしてくださいました。
天竺ベースですと約52分でこのように編み上がるとのこと!

今回のJBKSには出品されていませんでしたが
島精機さんには「アパレルデザインシステム」という
バーチャルシミュレーションのシステムがあります。
糸や、編み地、デザインなどが
パソコン上で本物そっくりに出来上がる革新的なシステムです。

以前、私もそれを見せて頂き
編み上がった台紙に貼ったスワッチ(実はバーチャル)を
思わず触ってしまい、偽物と知り本当に驚きました。
パソコン上で糸や編み地を拡大していくと
まるで本物を拡大しているように毛羽の状態まで
リアルに出てくるのです。

今回制作中の「テキスタイル用語辞典」でのニットの多くは
この島精機さんのバーチャルな編み地や糸が活躍しています。
その一部をご紹介します。
※これは基本編み地ですが、もちろん複雑なものもたくさんできます。


※上の編み地や糸はコンピューター上で作り出したもので
実際の編み地ではありません。

学校などでもこのシステムを
授業に取り入れているところがあります。
先日支店長の雑賀さんから
この就職難の時代に「アパレルデザインシステム」の
操作ができる学生を優先的に採用したアパレルがあると伺いました。

コストや時間削減のため、何度もサンプルを出すことができず
また、ベテランのニットデザイナーさんが少なくなってきた時代に
糸、ゲージ、編み地、デザインが瞬時に選べ
シミュレーションできる「アパレルデザインシステム」の力は
次世代のニット制作には欠かせないものになってくるかもしれません。

「テキスタイル用語辞典」でも
もうすぐ編み地が出来上がるので楽しみです!

独自性で世界のテキスタイルブランドに!『エイガールズ』

2010/12/11

日本のニットの魅力は
「最新技術を用いた“最先端の技”」と「長年にわたる“伝統的な技”」と言います。
今回で3回目を迎えるの「ジャパン・ベストニット・セレクション」は
事前審査で通った、出展数56社という小規模ながら
技術力、機能性、ファッション性、ブランドの独自性など
各社の特徴が打ち出された中身の濃い展示会となり
大勢の人で賑わっていました。

その中で関心を引いた「株式会社エイガールズ」を取材しましたのでご紹介します。
営業本部長の山下さんからお話をお伺いしました。

エイガールズは「日本発!世界基準のテキスタイル」をキャッチコピーに
プルミエール・ヴィジョンにも積極的に出展しているテキスタイルブランドです。
カットソーを中心にしたエイガールズのテキスタイルは
「優しく甘い手触り」が一番の特徴と言います。

展示されていたテキスタイルも
「使い込んで、色も風合いもいい感じになってきた」ような
肌にも心にも馴染んでくるようなものばかりです。

ピリングしたような小さな毛玉のついたもの
糸がほつれ、あちこちに穴のあいたものなどもあります。

「穴あきは、洋服としては物性的には無理かもしれませんが
ストールとしてはアリではないかと…」と言って
山下部長は笑っていましたが
このオリジナリティを追求するチャレンジャー精神が
エイガールズの魅力なのです。

創業以来追求してきたのは
「テキスタイルにおけるよりよい品質、独自性、先進性とは何か」。
アンゴラ100%を染めた生地は
ライトグレーの生地を織り、それを黄色に染め、
さらにストーンウォッシュをかけます。
「二手間、三手間もかけたもの作り」が特徴だから
単色では出せないニュアンスのある色合いや
優しい風合いが生まれるのだといいます。

エイガールズのお客様は “価値”を求めるブランドです。
お取引先にはストールで有名なイタリアのファリエロサルティをはじめ
フランスのスーパーブランドの名前が次々に上がってきました。
世界のトップブランドに通用する、日本のテキスタイルブランドとして
さらなる成長と飛躍を目指しているエイガールズに
大いに期待したいものです。

日本ブランドを発信!「ジャパン・ベストニット・セレクション」

2010/12/10

日本のニット産地のニッターさんや糸屋さんが集結し
世界に向けて「日本ブランドを発信」する展示会
「ジャパン・ベストニット・セレクション3rd Edition」(以下JBKS)が
12月7・8日に開催されました。

アパレルと違い、産地のニッターさんは地味な存在で
しかしニッターさんが支えてくれているからこそ
アパレルは一緒に取り組みいい製品を作ることができていました。
ところが「価格主義」の時代になり、生産は中国などへ移り始め
日本のニッターさんはせっかく素晴らしい技術を持ちながらも
廃業せざるを得ないところが続出。

「昔はニッターのおじさんが根気よく編み地を作ってくれたので
いろいろ実験しながら新しいものが作れていたのよ」と
ニットデザイナーの友人が話していました。
アパレルのニットデザイナーさんは何度も産地に通い
ニッターさんとコミュニケーションしながらニットのことを学び
一人前のニットデザイナーに育っていくのだといいます。

つまり、ニッターさんは若いニットデザイナーの
「教育係」でもあったのです。

現在はそういう物作りはほとんどできない状態。
中国生産では1stサンプルで商談をしなければならないことも珍しくはなく
しかも最近の若いニットデザイナーさんは
産地と密に付き合う機会も少ないため
ニットのことを良く知らない方も多く
「サンプルを買ってきて、デザインを指示すると
製品が出来上がると思っているのよ…」と友人は嘆いていました。

糸の種類、ゲージの太さ、編み地など
何しろ布帛と違いニットは糸の段階から…
つまり素材から作り上げていかなければならないものです。
単なるデザインだけではなく、経験がなくてはいいものが作れないのです。

そんな背景を持ちながら、今回のJBKSは、国内の物作りはおろか
中国生産もままならなくなってきたニット業界での合同展です。
「MADE in JAPAN」が見直されてきたこともあり
会場はかなりの人で賑わっていました。

「すごい人でした…
最近はあんなに混んでいる展示会はなかなかないですよね。
社長や工場の二代目が同い年くらいの人が多くなってきて
少しずつ私たちの世代に代わっていくのを感じます。頑張り時ですね。」
そう語る『yourwear』の佐藤さんの言葉に次世代への明るさを感じました。

取材の様子は次回お伝えします。

生産が追いつかない!『yourwear』制作の手編みルームシューズ

2010/12/08

秋田出身のニットデザイナー佐藤みちよさんのブランド『yourwear』が
夏椿』さんから依頼を受けて制作した
オリジナルの手編みのルームシューズが大人気です!

つくった矢先から納品するので「写真も撮れないほどです!」と
嬉しい悲鳴をあげていました。

何事も手を抜かない佐藤さんが
今年の1月から何度も試作を繰り返し練りに練ってできたのがこちらです。

サンプルを2足作って、1足は『夏椿』さん、1足は佐藤さんが履いてみて
「お互いに気になった部分を今年の冬までに修正しましょう」ということで、
2カ月ほど佐藤さんが試し履きしていたのが上の写真です。
形も崩れずしっかりしています。

「温かいこと」「丈夫なこと」「シンプルなこと」。
あたりまえの事ばかりですけど
この3つを満たしたルームシューズが出来たと思います」と、佐藤さん。
足を包み込む本体はウール100%ですが
底に革を貼っているのですり切れたりせず、とても丈夫です。

「びっくりするほど暖かいです!」

こちらが製品になって完成したばかりの、ほやほやのルームシューズ。
色と配色のバリエーションもあります。
この製品は『夏椿』さんでしか販売していません。

もう一つ“温かいもの”をご紹介します。
「湯たんぽカバー」です。
湯たんぽデビューのきっかけも『夏椿』さんです。
湯たんぽは眠る時はもちろん、日中もPC作業をする時に
足元や腰の後ろに置いて使うといいます。

こんな風に冬は肌身離さずに使うものなので、
丈夫で、そのへんに置いておいてもステキなものが良いと思い…
できたのがこちらの「大人の湯たんぽカバー」です。
ギフトにしても素敵です!

ルームシューズは秋田県の大館の小さい工場さんにも
協力してもらって作っています。
「MADE in AKITA」は始めたばかりですが
徐々に数を増やしていって、地元の人手をもっと使えたらと思っています。
「ほんとに地道な事ですが、たぶん地道にやるしか
道は開けないなあ、と思う毎日です。」
地元への思いを込めて語る佐藤さんの『yourwear』を
応援していきたいものです!

秋田人デザイナーのMADE in AKITAのニットブランド

2010/12/06

秋田県出身で、地元を愛するニットデザイナー
「佐藤みちよ」さんをご紹介します。
彼女は先日紹介した大館にある高校を出て
現在は湘南でニットブランド『yourwear』を立ち上げ活躍しています。

大館出身のクリエーターが中心となって街おこしに頑張っている
ゼロダテ」のアート活動にも参加し
将来的には生活・創作拠点を秋田に移したいと考えています。

「あなたの衣服」という意味の『yourwear』は
「着る人、使う人の個性が描ける、シンプルで余白のあるデザイン」
だといいます。
雪国育ちの彼女が
そんなニットであたたかな冬を過ごして欲しいという思いを込め
とても丁寧に仕上げたブランドです。

着心地や耐久性、年月を経て出る味わいなど
素材を吟味し、ハンドニットのぬくもりを大切に
自分が納得するまで試作が重ねられます。

一日中愛用しているカシミアのストールを
「きっと3月くらいには、クタクタないい感じになっていると思います」と
素材を良く知っている佐藤さんならではのコメントです。

次回は、今生産が追いつかないくらい嬉しい悲鳴を上げている
手編みのルームシューズのことをお伝えします。