Archive for 06, 2011

「甲斐絹座」in『meet my project』

2011/06/14


甲斐絹座(かいきざ)」代表の前田さんから
パリのl’Observatoire du BHVで開催されている
『meet my project展』(7月16日まで開催)に出展している
写真が送られてきました。

「甲斐絹座」は山梨県の郡内地方で織られていた
「甲斐絹(かいき)」という、絹の先染め織物を復活させ
新しい解釈で現代に蘇らせようと設立されました。
甲斐絹は江戸時代から昭和にかけては、羽織裏(はおりうら)など
見えないところに凝る粋な織物として一世風靡しました。

しかし、手仕事でしか織ることのできない甲斐絹は
織り技術の難しさや洋服への移行も相まって次第に姿を消してしまいました。
これを何とか現代に新しく蘇らそうと設立されたのが「甲斐絹座」です。

今年の3月に原宿で山梨のネクタイ産地の
YAMANASHIネクタイフェア』という面白い展示会があり
「甲斐絹座」も一部展示されていました。
かなり期待していたのですが
その後…あの3・11で…
この夏は「スーパービズ」が叫ばれてしまい
山梨産地もかなりの打撃を受けていることかと思います。


・・・今年3月に原宿で開催された『YAMANASHI ネクタイフェア』に出展していた
「甲斐絹座」の玉虫の甲斐絹のネクタイと、「hengen」のスカーフ・・・

そういう中、今回バリの『meet my project展』に
出展されていたことを知り、頑張っているなあと思いました。
『meet my project展』はデザイナーと企業を結ぶ
新しい展示会企画としてフランスで開催されるようになったものらしいです。
製造者とデザイナーが密接なコミュニケーションをとれるように
デザイナーも20人以下にしているようです。



「甲斐絹座」のこの商品は『hengen』というブランドで展開している
新しいブランドです。
インダストリアルデザイナーの島村卓実氏がデザインしているもので
写真は「繭(まゆ)」のような形の楓(かえで)のカプセルに
玉虫の甲斐絹のストールを入れたものです。

傘や、パソコン用のクッションなど面白いアイテムもありますので
ぜひサイトを覗いててみてください。

『ヨーロピアン・モード展』に見る、レースの話し

2011/06/11

文化学園服飾博物館『ヨーロピアン・モード展』に行ってきました。
本日6月11日までなのですが、本当に素晴らしい展示で
ぜひ多くの方に見て頂きたいと思いました。
特に今回はロイヤルウエディングに因み
貴重なウエディングドレスがたくさん展示されていました。

私はなんと贅沢にも、アンティークレース鑑定家の
ダイアン・クライスさんのレクチャーを受けながら
この展覧会を見ることができ、
改めて「知識」があるということは
本当に「人生を豊かにする」と感じました。
ダイアンさんは、パンフレットや解説に無い
レースの専門的なことや、ヨーロッパの服飾師のことを
お話ししてくださり、2倍得した感じです。
この日は、『MI.YA.CO』の米澤さんやレース好きの方達もいらっしゃり、
皆さんの知識の豊富さにも感心しました。
その一部をご紹介します。

「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」1770年代

フランス式ローブの典型的なスタイルです。
18世紀は「フランス式」が世界のモードのルールとなり
各国がこれを取り入れました。
今回のコーディネートにはありませんでしたが
髪には「ラペッツ」という長いリボンを飾ります。
袖口には「アンガシャン」というレースのカフスを何枚も重ねます。
マリー・アントワネットは8枚も重ねたといいます。
そしてこれは別名「涙のカフス…ウィーピングカフス」と
呼ばれたそうです。
手紙を見て、歓びや悲しみの涙を拭った…
ということなのでしょうか。
何ともロマンティックな名前です!

胸の部分に付ける、刺繍などを施した三角のアイテムは
「ストマッカー」というものです。
胸から胃(ストマック)の部分に据えられるものです。
胸の谷間を盛り上げる役割ともなりますが
この刺繍は貴族の婦人が自分でされたそうです。
かなり高価な糸を用い、
その豪華さがステイタスだったといいます。
「ストマッカー」はこの部分だけ取り替えて
色々楽しむことができます。

「エンパイア・スタイル ドレス」1805年頃

ナポレオン帝政時代に流行した「エンパイア・スタイル」です。
これは「モスリン」のドレスです。
日本で「モスリン」というと、薄手ウールをいいますが
ヨーロッパでは「薄手綿」のことです。
当時綿は大変高価なもので、イギリスから輸入していました。
モスリンに白糸で刺繍したものが大人気になり
フランスのレース産業を脅かすまでになったため
ナポレオンは何度も「綿禁止令」を出したほどです。

「デイ・ドレス」1865年頃

19世紀半ばになると、イギリスの産業革命も進み
複雑なレースが機械生産できるようになりました。
気の遠くなるほどの時間をかけて作るハンドレースでは
衿やカフスなどディテール使いが精一杯。
機械レースでは、大きな面積のレース使いができるようになり
中でもレースのショールが流行しました。

この黒のレースは「シャンティイ・レース」と呼ばれるものです。
「シャンティイ・レース」は、
パリのシャンティイで作られたことに由来するチュールレースで
特に黒のレースが有名です。
もとは手織りのボビンレースだったのですが、
その後、機械レースに取って代わられています。

黒レースはスペインでも人気で、
特にこの時代、ナポレオン3世の皇妃ウジェニーが
スペイン貴族であったことから
エキゾチックな黒レースを愛用したことも手伝い
黒レースが流行したといいます。
マリー・アントワネットや、
オーストリアの皇妃エリザベートも
黒レースを愛用していたことで知られています。

ここではお伝えできませんでしたが
ウエディングドレスのレースやヴェールは、
代々伝わるハンドレースが使われているなど、
その豪華さに驚くばかりです。とてもいい展覧会でした。

『MI.YA.CO』とクリュニー・レース

2011/06/07


英国キャサリン妃のウエディングドレスにも縫い付けられていた
「クリュニー・レース」のことをお話しします。
クリュニー・レースは、もとはフランスのブリュゴーニュ地方の
クリュニーで作られていた、手織りのトーション・レースです。
オフホワイトの太い麻糸や木綿糸で作られた目の粗いレースで
渦巻きや花などの円模様や幾何学模様が多く、
これらを繋ぐブライド(枝模様)やバーが多いのが特徴です。

現在は創業1845年の、世界で最も古いレースメーカーである
イギリスのノッティンガムの 「クリュ二ー・レースCLUNYLACE社」が
当時と同じリバー・レース機で、
クリュ二ー・レースの伝統のデザインを受け継いで生産しています。
今はクリュニー・レースと言えば「クリュニュー・レース社」の作る
独特の素朴感のあるリバー・レースをいっています。

以前ご紹介しました『MI.YA.CO』さんは
このクリュニー・レースをメインに
ものづくりをしているアパレルです。
まだクリュニー・レース社が日本に知られる前から
ホームページなどでもクリュニー・レースの啓蒙をはじめ
歴史や特徴が丁寧に語られています。


先日お伺いしたときも、オーナー&デザイナーの
米澤美也子さん
丁寧に説明をしてくださいました。

クリュニー・レース社のクリュー・レースは
繊細で優美なレースを作るリバー・レース機で
素朴感のあるトーション・レースのような味わいを出しています。

私もこれがリバー・レース機で作られていることを知って
大変驚きました。



クリュニー・レースは
双糸★(そうし)のエジプト綿の糸で作る幾何柄のレースで
特に「ロスト・モーション・スポット」と呼ばれる
膨らんだ米粒のような小さなドット柄を特徴にしてます。


1階は『MI.YA.CO』のショールームです。
アンティークなセレクトショップにいるような本当に素敵な空間です。
入り口の「はさみと糸」の看板もヨーロッパの香りがいっぱいです!

クリュニュー・レース社のレース作りは
いまなお創業当時と同じリバー・レース機を使って作られていますが
それを作っている方も、地元を中心とする英国人です。
安い賃金の外国人を雇用せず、
人も機械も伝統を守り続けるものづくりが続いています。
「かといって、価格が高いわけではないんですよ」と
クリュニー・レースに惚れ込んでいる米澤さんが教えてくださいました。
ザ・レースセンター原宿』でぜひご覧ください。