Archive for 10, 2011

世界の頂点を目指す「ニッケ」のウール

2011/10/17

「ジャパンクリエーション2012」の「ニッケ」では
『テキスタイル用語辞典』の素材収集で大変お世話になった
「ニッケ創作工房」の田中さんと西山さんから
説明をしていただきました。

世界の頂点を目指す「ニッケ」ならではの
技術の粋を集結し、スーパーブランドにも採用されている
ハイエンド素材の話しは、大変興味深いものばかりです。

まず驚いたのはこの色の鮮やかさです。
まるでシルクかポリエステルのような
鮮やかな色ですが、もちろんウール100%。
180番手単糸の「GOLDEN MAF」のシフォンジョーゼットです。
シフォンのような薄さのクレープジョーゼットで、
上品なシャリ感と落ち感があります。

以前、同じ素材をプルミエール・ビジョンに
黒やベージュなどのカラーで出したときは
関心を示されなかったようですが
その後、鮮やかなオレンジを差し色にしたところ、ブレイク。
(これをニッケさんでは密かに“エルメスオレンジ”と呼んでいるようです)
今回はさらに鮮やかなアソートになりました。
これらの素材はションヘル織機などの「低速織機」で織られたもので
」を発見したときは、ちょっと興奮しました。

150番手のシフォンジョーゼットは
2011年AWのエルメスに採用されています。
上のプルオーバーは、袖口と裾はカシミアのリブです。
シフォンジョーゼットとリブを繋ぐ技術の高さに
田中さんは驚いていました。
エルメスは以前も、ストール用に織り上げたシフォンを
ブラウスに仕立て上げたそうで、これにも舌を巻いていました。
アトリエの力でしょう。

左は2009年AWのマーク・ジェイコブスに採用された
150番手単糸の「GOLDEN MAF」のビエラです。
ウール100%のビエラですが、
この生地は撚糸に特徴があり、シャリ感がなく、
非常にしなやかでソフトです。

右は2009年AWのルイ・ヴィトンに採用された
90番手双糸のタスマニアウールのダブルジョーゼットです。
膨らみ感があり仕立て映えのするスーパーファインクレープ。

「ブリティッシュ・ウール・クォリティ・アワード
(2010年英国羊毛大賞 アパレル紡績部門賞)」受賞した
英国羊毛100%の梳毛のツイードです。
ぱりっとした上品な梳毛ツイードは、本当に美しい仕上がりです。

「GOLDEN MAF」は、ニュージーランドの超極細ウールの中から
さらに選りすぐられた、13〜15.5μmの最高品質のウールです。
ションヘル織機などの低速織機でゆっくりと、ふっくらと
丁寧に織られていきます。

ビキューナ100%の梳毛は、世界で「ニッケ」だけが完成させたものです。
気になる値段を伺ったところ、生地代だけでなんと29万円。
とある百貨店では、上代140万円でジャケットが販売されたそうです。
普段、生地は反物でしか販売しませんが
この生地ばかりは切り売りも可能とか…

四重織りのウールリバーシブルです。
多重組織になるほど組織が生地に厚みが増し、複雑になり、
織るのが難しくなります。
多重織りでは最高峰かもしれません。

乗馬用のライディングジャケット用に開発された生地です。
「じょうらん」という生地だそうです。
こちらも「GOLDEN MAF」を使用し、薄くハリのあるイメージですが
生地の裏側にはボンディングのケミカル加工を施しています。
丈夫さを要する乗馬生地ならではの試みといいます。

どれも、一般庶民には手が届かない生地ばかりですが
高額所得層や、本物の価値を求める層に向けて
頑張って欲しい分野です。

世界に誇る生地メーカーとしての「ニッケ」のブランディングです。
それが、「日本の生地はすごい」という評価に繋がることでしょう。

「林与」×「紺九」、老舗がコラボした本藍染めリネン

2011/10/15


「ジャパンクリエーション2012」で目についた
魅力的な素材をご紹介します。

Textile Treeではおなじみの近江の麻の老舗「林与(はやしよ)」では、
林社長が、林与の企業案内の冊子を作り
気合いの入りぶりを見せていました。

林社長の人気ブログ「リネン日記」でも、その文章力には定評があり
林与のもの作りの魅力が伝わる、いい冊子に仕上がっていました。

今回の展示会では新しい試みの素材が提案されていました。
かなり高い評価だったのが、
野州市の「紺九(こんく)」とコラボした
ヴィンテージ・アイリッシュリネンを本藍染めにした生地です。

「紺九」は昔ながらの藍瓶(あいがめ)で染める、
いわゆる「紺屋(こうや)」と呼ばれる
明治3年創業の、約130年続く老舗の藍染屋です。
4代目の森義男さんは国文化財保存技術保持者の認定を受け
伝統技を受け継ぎ、重要文化財の修復なども手がけています。
明治30年創業の麻の老舗の「林与」とコラボした「本藍染めリネン」は
素晴らしいものに仕上がらないわけがありません。

群を抜いて際立っていました。

藍染めは色の濃さの段階で、それぞれの呼び名があります。
紺、はなだ、浅葱(あさぎ)などと呼ばれていますが。
今回の明るい色は「はなだ」です。

本藍染めのリネンストール。
こんな深いきれいな濃紺は見たことがありません!
本当に素敵でした!久しぶりにトキメキました。
100番手以上のリネンではないかと思います。
少しハリがあります。

もうひとつは「リネンのバスケット織り」です。
ザックリしているけど、どことなく光沢があり、いい顔をしています。
この生地もなかなか好評のようです。
林社長は、バッグと、グローブと帽子を作ったといい
展示されていました。(テーブルの上に広げているだけですが)

四角いだけの“袋”を帽子といったので
始めは冗談かと思ったのですが、どうも本気のようです!
グローブは鍋つまみなどの利用があるようですが
この帽子だけはちょっと…(考え直して欲しいな)
バッグは近々サイトで販売するそうです。

3つめは「オーガニック・リネン」です。
オーガニック・リネンは野生に近い育ち方をしているので、
本来は一般的なリネンよりは少しごわごわした感じです。
オーガニック・リネンというと、
高品質でソフトなイメージをもっているのは“幻想”で
これは、酵素や柔軟剤を多用して柔らかくしなければ
できないのだといいます。
まさにオーガニックとは逆の方向です。

林社長の話しは、色々勉強になることも多く
お会いするのをいつも楽しみにしています。