2014S/S 『T・N JAPAN東京展』Vol.2福井経編興業

投稿日:2013/ 05/ 01  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

『テキスタイル ネットワーク ジャパン(T・N JAPAN)東京』は
付加価値の高いもの作りをしている
全国から選りすぐったテキスタイルメーカーで
構成されている合同展です。
2014S/Sテーマは「触感を考える」。

合繊産地として知られる福井県から出展している
「福井経編興業(株)」のブースで目を惹いたのは
メッシュの不思議な素材で作られたウエアや、
布帛感覚のニューハイテンションです。
経編み(たてあみ)は、織物に似た伸びの少ない
きっちりとした編み地が特徴で、裁断して縫製されるニットです。

特に今回は、シューズやカーシートのスペーサー資材
(間に挟んで使う資材)など、
スポーツや資材分野で使われている経編みのダブルラッセルを
衣料用として提案しました。
軽く通気性があり、カチオン可染ポリエステルとすることで、
色効果のある素材としてアピールされています。


・・・・・ダブルフェイスの蜂の巣メッシュ。
染色効果の違うポリエステルとナイロンの
2種類の素材を使用しているため、
1回の染色で2色に染め分けられ、
玉虫のような効果が出ています・・・・


・・・・裏側にプリントを施したダブルメッシュ。
メッシュが微妙にずれているので3D効果が現れています・・・・


・・・・ダブルラッセルのダブルフェイスメッシュ。
メッシュが微妙にずれているため生地は透けて見えません。
カチオン可染ポリエステル糸を使用して
1回の染色で2色に染め分けています・・・・

・・・・


・・・・経編み(たてあみ)は、織物に似た伸びの少ない
きっちりとした編み地が特徴です。
これはメッシュにボンディングしたもの・・・・


・・・・本来は、シューズやカーシートのスペーサー資材(間に挟んで使う資材)、
スポーツウエアのライナーとして使用されているものを、
ファッション素材として提案。
軽く弾力性があり通気性の良いのが特徴・・・・

2014S/Sのファッションやテキスタイルトレンドで
注目のひとつがハイブリッド的な表現の「スポーツ・クチュール」。
中でも、アパレルデザイナーが熱い視線を注いでいるのが
工業用資材です。
ダブルフェイス、両面染色、ボンディング、ニードルパンチなど、
テクニカルな素材のファッション化が新しいマーケットを生み出しそうです。


・・・・三菱レイヨンのトリアセテート「ソアロン」のトリコット編みは、
福井経編興業がすべて製造・・・・

2014S/S 『T・N JAPAN東京展』Vol.1

投稿日:2013/ 04/ 30  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

『テキスタイル ネットワーク ジャパン(T・N JAPAN)東京』は
全国から選りすぐった付加価値の高いもの作りをしている
テキスタイルメーカーの合同展です。

小規模な素材展ではありますが、
個性的なメーカーとの直接的なやり取りができることから
質の高さを求めるデザイナーやMDなどからの支持も高い
展示会となっています。

2014S/Sは「触感を考える」をテーマに
会社や団体など18ブースが参加。
「オンリーワン」の自信作を披露しました。

クオリティや技術を追求したための価格面の問題や、
物性的な問題をクリアしていない試作的なものもありますが
ものづくりに職人魂を注ぐメーカーの心意気と気概は
日本のクリエーションの可能性を広げています。

ファッションやテキスタイルトレンドは、
ハイブリッド(異種混交)の方向にあり
相反する要素や、ひとつの素材に複数の要素を取り入れるなど
今までにないタッチを求める傾向が強まっています。
スポーツ×クチュール、ナチュラル×人工、上質×ダメージなど
新しい組み合わせの素材も提案されています。


・・・・「福井経編興業(株)」は、シューズやカーシートの
スペーサー資材(間に挟んで使う資材)など、
スポーツや資材分野で使われているダブルラッセルを衣料用として提案・・・・


・・・・甲斐絹(かいき)の技術を持つ山梨の「宮下織物(株)」は、
「濡れ巻き整経」の究極のシルクサテンを
「フォークニードル」で表面を傷つけて糸を引っ掻き出した生地を制作。
織りこぶができたB級反の逆転の発想!・・・・


・・・・「和の技術」を発想源にした「日の出紡績(株)」。
真ん中は、ギマ加工の糸でごわごわ感を出したシルク。
右は墨染めにしたリネンワッフル・・・・


・・・・天然繊維を中心に、仕上加工の斬新さを特徴にしている
「(有)オフィスくに」。表面はシルクのギマ加工糸、
裏面は綿糸を使用した二重織りで色ムラ感を出したもの・・・・

近江上布の「林与」の挑戦!

投稿日:2012/ 12/ 27  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

HARVEST ♯002』に出展していた、近江の麻の老舗「(株)林与」を紹介します。
今回の展示会で目を惹いたのが、初お披露目となる
アーカイブの近江上布のプリント柄です。
「林与」は、明治30年、近江上布の織元として創業しました。
「上布」とは上質なラミーで織った高級な薄手麻織物で
江戸幕府への「上納布、献上布」とされたものです。
近江上布は、非常に高度な絣柄が特徴ですが、
現在はほとんど織られてはいません。

「林与」の近江上布の記事はこちら↓
http://www.textile-tree.com/tex/?p=302


・・・・ハンガーにはたくさんのアーカイブの近江上布の一部が掛けられています。
手前がプリントにしてワンピースにしたもの・・・・


・・・・「林与」のアーカイブの近江上布・・・・


・・・・現在「林与」は麻の先染めを得意としています・・・・

実は数年前に、「林与」の倉庫から
近江上布の柄見本が1万枚近く発見されました。
林社長は、今見ても色褪せることのない素晴らしいデザインの柄を
現代に復活できないものかと考えていました。
私も以前実物を見せていただきましたが、
植物柄を中心にものすごいバリエーションがあり、
洋服にしてもステキな、モダンな柄が多くあります。
昨年より「近江上布柄プロジェクト」として着々と計画が進められ
色々試行錯誤したようですが、
10月の『インターテキスタイル上海』で初披露し、
日本では今回の『HARVEST』の展示会が初めてです。


・・・・お披露目された近江上布柄のプリント・・・・


・・・・麻と綿で作りましたが、麻の方が近江上布のニュアンスに近いようです・・・・

柄付けは、顔料と染料で行いましたが、
染料の方が自然な感じたったので、こちらを採用。
染めには「しごき染め」を用いたといいます。
「しごき染め」は、江戸小紋などで行われる地染めで、
型紙を使い、柄部分に糊置きして防染したあとに、
柔らかな色調の色糊(いろのり)を生地全体に塗り付け、
それをヘラでしごいて染める染法です。
地色が真っ白ではなく、
生成りや柔らかなピンク味に染め上げることができるので
ナチュラル感のあるいい雰囲気の柄になります。
今回は、しごき染色機を持っている染色工場と取り組んだそうです。


・・・・地色に微妙な色があるのが「しごき染め」の特徴です。
「林与」のロゴマークもネームも入っていて“ブランド”を感じます!・・・・


・・・・麻なのに、クシャクシャにしても、シワをあまり感じません。
「しごき染め」の特徴なのかもしれないと語っていました・・・・

染める布も麻と綿など、何種類が実験しました。
今回の展示会にも、麻と綿の両方が展示されていましたが、
やはり、麻の方が、本来の近江上布に近いような雰囲気を持っています。
そして、今回「しごき染め」を行った麻生地で、林社長が気がついたのは
「しわになりにくい」ということです。
『インターテキスタイル上海』に持っていったときも、
トランクに無造作に入れていたのに、
「ほとんどしわが目立たなかった」というのです。
これも「しごき」を行っている効果なのでしょうかと、話しておられました。


・・・・テキスタイルアワードで、総合の3位を受賞したトロフィと賞状・・・・


・・・・中国語の賞状・・・・

今回の展示会でもうひとつのお披露目は
10月に上海で開催された中国紡織工業連合会主催の
テキスタイルアワードで、総合の3位を受賞したトロフィーと賞状です。

といっても狭い『HARVEST』の会場では、飾るところも無いので
まだ、お客様が少ない時間にそっと撮影させていただきました。
受賞の対象になったのは、リネン100%のブラックデニムです。
中国では今、「黒」がトレンドになっており、
これもいいタイミングだったようです。

受賞の記事はこちらをご覧ください。
http://www.textile-tree.com/blog/?p=4600


・・・・受賞したリネンのブラックデニム(左)・・・・


・・・・総合3位のリネンのブラックデニム製品が
掲載されているパンフレット(右下)・・・・


・・・・日本企業では、もう1社小松精練のリアルなアニマルプリントが受賞。
こちらは、部門賞のクリエイティブデザイン賞・・・・


・・・・ちなみに、1位となったのが中国のメーカーのこちらの素材・・・・

リネンデニムは、インディゴは糸の中心が染まらない
中白(芯白)にしていますが、
ブラックデニムは反応染料で色落ちしないようにしています。
このリネンデニムは気仙沼の「㈲オイカワデニム」とコラボして
新製品を企画しているそうです、
『ジャパンクリエーション』で偶然「㈲オイカワデニム」を知り、
ラミーのミシン糸を持っていることなど
目立たないブースなのにやっていることがスゴイと意気投合。
これもどんな製品ができるのか楽しみです。


・・・・村田染工とコラボした鮮やかな草木染めのリネンストール・・・・

リネンストールでは、京都の「(株)村田染工」とコラボして
カラフルな草木染めのストールを提案。
「これが本当に草木染め?」と、驚くような鮮やかな色合いです。
以前より展示会に伺うと、鮮やかな草木染めの製品を見ることがあり、
聞いてみたらほとんどが「(株)村田染工」のものでした。
偶然にもこの日、「(株)村田染工」の村田社長とお会いすることができ
色々お話しを聞くことができました。
それはまた次回お伝えします。


・・・・藍染めのストールは、林社長自らインド藍の原液で
染めたもの。爪まで藍で染まって大変だったと笑っていました・・・・

もうひとつ「林与」の製品で気になっていたのは「キッチンリネン」です。
キッチンリネンは特別珍しいものではありませんが、
「林与」のキッチンリネンほど高密度なものには
なかなかお目にかかったことがありません。
林社長に伺ったら、このくらいの高密度なものを織るのは、
途中で糸が切れるし、本当に大変だと。
しかし、使えば使う程柔らかくなり、
「一生もの」のキッチンリネンになります。
ドイツに『マングルクロス』というリネンがあります。
ローラー式アイロンに使われるとても高密度なリネンで、
摩擦や熱から衣類を保護したり、脱水効果があるものですが、
このリネンと恐らく似ているのではないかとも話されていました。


・・・・「林与」ならではの高密度のキッチンリネン・・・

「林与」のもの作りは、本当にひとつひとつが丁寧で手を抜きません。
効率や合理性だけでは計れない、もの作りへのプライドだと思います。
そういう良さがじわじわと伝わり、支持者を確実に増やしています。
また、国内外を問わず本物の近江上布を初めて展示会で見た方の反応はとても良く、
「プリントだけではなく、本格的な再現に取り組んでいく必要を感じた」と
林社長のブログ『リネン日記』でも語っていました。
林社長でしたら、きっと新しいかたちを見いだしてやってくれると思います。

 

天然繊維テキスタイルの合同展『HARVEST ♯002』

投稿日:2012/ 12/ 24  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子


2回目の開催となる『ハーベスト』は
天然繊維のテキスタイルメーカー6社の合同展示会です。
オーガニックコットンの(株)パノコトレーディングが中心となり、
リネン、シルク、ウール、パイル、先染めコットンの各分野から
選りすぐったエキスパートメーカーで構成。
6社という小規模ながら、非常に質の高い展示会となっています。


・・・・小規模ながらクォリティの高いメーカーが集まった会場・・・・


・・・・展示会の受付をしているのはパノコトレーディングの長尾さん(右)。
古いミシンを受付台にして談笑する、アットホームな雰囲気・・・・

『ハーベスト』は、取り扱う商品がバッティングしないことや、
小規模展示会のメリットを生かし、それぞれのお客様を紹介し合うなど
互いのメーカーが連携し合うアットホームさも特徴。
糸や原料の在庫、生地在庫を抱えているメーカーも多く、
リスクを持ちながらも、独自のもの作りに力を入れている
“気概”を持ったメーカーが目立ちます。
今後は、少しずつ参加メーカーを増やしていきたいと
展示会のまとめ役となっている(株)パノコトレーディングの
長尾さんがお話しくださいました。
参加6社を簡単にご紹介します。

【リネン】(株)林与
明治30年創業の近江の麻の老舗「(株)林与」は、
Textile Treeでも何度かご紹介している麻織物メーカーです。
10月に上海で開催された中国紡織工業連合会主催の
テキスタイルアワードで、総合の3位を受賞。
近江の小さなメーカーの製品が世界で評価されるなど、
こつこつと、独自の哲学で質の高いもの作りをしてきた成果が
着実に実りつつあります。

・・・・林与のアーカイブの「近江上布」と、それををプリントにして
仕上げたワンピース・・・・


・・・・テキスタイルアワードで、総合の3位を受賞したトロフィと賞状・・・・


・・・・受賞したリネンのブラックデニム(左)・・・・・

受賞の記事↓
http://www.textile-tree.com/blog/?p=4600


・・・・京都の(株)村田染工とコラボしたビビッドな草木染めのストール・・・・

今回の『ハーベスト』には、現在は幻の織物となっている
「近江上布」の柄をプリントとして復刻させたものや、
京都の(株)村田染工とコラボしてビビッドに染め上げた
草木染めのリネンストールを展示。
そのこだわりがまたスゴイのです。

※それはこちらで紹介しています。
http://www.textile-tree.com/tex/?p=4042


【シルク】(株)長谷川商店

愛知県一の宮の「(株)長谷川商店」は
シルク原料から、糸、丸編み、織物などを扱う
シルク関連の総合商社です。


・・・・シルクを中心に、ウール、カシミア、アルパカ混や、麻や綿なども・・・・


・・・・意匠糸のバリエーションも多い・・・・


・・・・カラーバリエーションが100色以上、カスリで20色くらいの在庫があります・・・・


・・・・ラルフ・ローレンが定番にしている素材・・・・

アジアで初めて、イタリアのニット糸の展示会「ピッティフィラッティ」に
出展したメーカーでもあり、
ニットを主流に、トレンド性の高い糸なども提案し
海外のスーパーブランドとの取引も多数。
シルクの原料から抱え、紡毛シルク糸などは
100色をストックしているものあります。
他ではなかなか見られない意匠糸などを得意としています。

【ウール】長尾商事(株)
ウールの分野では、羊毛繊維専門商社の名古屋の
長尾商事(株)」が参加。
羊毛原料をはじめ、アルパカ、カシミア、キャメル、アンゴラなどの
原毛原料、原糸、織物などの輸入・輸出を行っています。
特にアルパカ、ビキューナなどの南米の原毛を得意とし、
これらを輸入するライセンスを持っている、世界でも数少ない会社です。


・・・・尾州産地を背景にした羊毛繊維専門商社・・・・


・・・・二重紡績で、「ガラ紡」のように糸のボディの部分に
違う色のわたを置いていき、カラーミックスの甘撚りのスラブ糸にしたもの・・・・


・・・・軽く弾力性のあるナチュラルヘアをもつ高山羊のペルーウール・・・・

注目したのはペルーの高山に生息する羊で、
天然色のナチュラルヘアで展開しているペルーウール。
ノンミュールジング(羊に処置を行っていない)というエコ的観点や、
膨らみがあって軽く、希少価値があり、しかも価格もリーズナブルということで、
人気も高まっています。
また、「ガラ紡」のような紡績のできる三河の紡績会社とコラボして、
手紡ぎのような、独特の節のある甘撚りの軽い糸を開発。
数少ない職人さんの技術ならではの、味のある糸となっています。

【先染めコットン】(株)カゲヤマ
日本最大の先染め織物産地の兵庫県西脇市に本社を置く
(株)カゲヤマ」は、先染めのシャツ地を中心にした企画・製造・販売会社。
東京、上海、韓国、イタリアにも支社を持ち、
トレンド性やオリジナリティのあるカジュアルシャツ地を得意としています。


・・・・ヴィンテージ加工を施したシャツ地を得意とします・・・・


・・・・抜染で色を抜いた「シェイキーマジック加工」。裏と表の表情がこんなに違います・・・・


・・・・ポリエステル糸と綿糸の複合繊維の織物を、綿糸だけを染めた
「片サイド染め」。ポリエステル糸は染まらないので、色褪せたような
白っぽい感じに仕上がります・・・・

抜染の手法で色を抜いた人気商品の「シェイキーマジック加工」、
性質の違う2種類の糸の片方だけを染めた「片サイド染め」など、
新商品開発にも積極的。
色褪せた経年加工を施したシャツ地や、
先染めにドビーやジャカード、刺繍などを入れたレトロテイストなど
魅力あるヴィンテージ素材を提案しています。
また、通常約400~500柄、約2,000点以上ストックしており、
小ロット・短納期ができるのも特徴です。

【パイル素材】青野パイル(株)
パイル織物(編物)産地である、和歌山県高野口からは、
青野パイル(株)」が参加。


・・・・ハイテクパイルも得意とする、パイルの産地、和歌山県高野口のメーカー・・・・


・・・・人気のドットもパイルで立体的に!・・・・


・・・・コンピューターベロアで、立体的なキャラクター柄を出したもの・・・・


・・・・アメリカ海軍のデッキジャケット。襟やインナーには
アルパカウールのボアを使用した本格派仕上げ・・・・


・・・・無印良品のコットンブランケットに採用されたシール織り素材。
高野口産地ならではの上質なパイルです。以前採用されたアーカイブから再登板!・・・・

青野パイル(株)は、ベロア、フェイクファー、シールなどの「アパレル用パイル」、
ブランケット、シーツなどの「寝装用パイル」、
椅子張り、カーペットなどの「インテリア用パイル」はもとより、
電磁波シール材、レンズの研磨材など、IT関連や建築関連の
工業関連素材分野にも進出。
ハイテクの新分野開拓に力を入れるなど、
パイルの領域も広がり、かなり面白くなっています。

【オーガニックコットン】(株)パノコトレーディング
『ハーベスト』の発起人・主催となっている、
オーガニックコットンの「(株)パノコトレーディング」。
オーガニックコットンの原糸の輸入・販売をはじめ
生地の企画・製造・販売を行っている会社で、
アパレル分野に進出する準備も着々進んでいるようです。


・・・・高野口産地とコラボしたオーガニックコットンのパイル・・・・


・・・・・きれいな草木染めのオーガニックコットン・・・・

今回は高野口産地とコラボしたパイル織物や、
草木染めのオーガニックコットンなど、今シーズンの主力商品を展示。
「(株)パノコトレーディング」が、
なぜオーガニックコットン100%の提供が可能か、
無農薬のオーガニックコットン生産を可能にする
「オーガニック農法」などの説明を
オーガニックコットン事業部の浅田さんから伺いました。

パノコトレーディングの取材↓
http://www.textile-tree.com/tex/?p=2703

2013・2014A/W 『T・N JAPAN東京展』Vol.5林キルティング

投稿日:2012/ 11/ 26  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

ものづくりに職人魂を注ぐ、全国のテキスタイルメーカーの合同展
テキスタイル ネットワーク ジャパン(T・N JAPAN)』が開催されました。
2013・2014A/Wのテーマは「職の革新〜糸にこだわる〜」。
糸にこだわった個性的なメーカーが揃いました。

大阪・岸和田の「林キルティング」は、キルティングの可能性を広げた
付加価値の高さが特徴です。
代表の林千尋さんは全国を走り回り、
ジャカード、刺繍、ステッチなど、
優れた加工技術を持つ工場を探し当てコラボレーション。
高度なテクニックを駆使した、
クリエイティブなキルティングを作り上げています。


・・・・一見プリーツのようですが、“溶ける糸”を使用して
キルティング技術でつくったもの・・・・


・・・・キルティングした糸を溶かすと、絞りやプリーツのように
立体的な表面感となります。右はサテン、左はサテンにオパール加工を
施したもの。同じキルティングでも生地により表情が違います・・・・


・・・・さらに転写プリントを施したもの・・・・

「林キルティング」は、林さんが一代で築いたもの。
父親は青果業を営んでいましたが、父親とは違う職業を選びました。
しかし、事業家になりたいという林さんの志を父親はバックアップ。
大学を卒業後、キルティングの機械を導入し、
早速操業しましたが、初めの5〜6年は
まさに勉強の時代だったといいます。


・・・・大学卒業後創業し約30年。すべて独学でやってきたという林さん・・・・

林さんは、全国のキルティング工場を尋ね回り技術を学び、
さらに、ジャカード、刺繍、ステッチなどを得意とする工場と
協業することで、キルティングのさらなる可能性を広げました。
日本にはスパンコールやコード刺繍など、
特殊加工に高い技術を持つ工場があります。
しかし、規模が小さいために、残念ながら発信力が弱い。
そういう優れた特殊加工技術や設備をもつ工場と連携していくと
他にはなかなか真似のできない
オリジナリティのあるもの作りが可能になります。
このコーディネート力は、
全国を走り回った林さんならではのノウハウです。


・・・・ベルベットにオーガンジーを重ね、キルティング刺繍。
生地の色や刺繍の仕方により、表面感が違って見えます・・・・


・・・・絞りのようなキルティング・・・・

パリのプルミエールヴィジョンにも出展し、
オリジナリティのある高度なもの作りは
国内外の有名デザイナーからも高い評価を得ています。
林さんは、付加価値を求めるメーカーさんに向けて
小ロット対応を行ったり、
素材・福祉材・加工法からのアドバイスを含めた
商品開発も行っています。
もちろん海外への進出にも力を入れています。


・・・・「林キルティング」のイメージブランドの『マレンコ』・・・・


・・・・一見ジャカードのように見えますが、
オーガンジーを重ね、キルティング刺繍をして、
あと染めしたコート。色合いが立体的です・・・・


・・・・キルティングとニードルパンチの組み合わせ。
以前プラダにもこのテクニックが見られました・・・・


・・・・キルティングのパネル柄。かなり凝った柄ができます・・・・

工場を立ち上げ初めて製品ができた時、まずはともあれと、
「無鉄砲にも、コシノヒロコさんの門を叩いた」そうです。
コシノヒロコさんは、初めて見る林キルティングさんの
生地を気に入ってくださり、それは今日まで続いています。

そういえば、コシノヒロコさんも林さんも同じ岸和田出身。
もちろん林さんも生粋の「だんじり男」!
岸和田の「だんじり魂」でもって、
世界に大きく羽ばたいて行くことを、心より応援しております。

2013・2014A/W 『T・N JAPAN東京展』Vol.4伝統と革新の有松鳴海絞

投稿日:2012/ 11/ 25  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

ものづくりに職人魂を注ぐ、全国のテキスタイルメーカーの合同展
テキスタイル ネットワーク ジャパン(T・N JAPAN)』が開催されました。
2013・2014A/Wのテーマは「職の革新〜糸にこだわる〜」。
糸にこだわった個性的なメーカーが揃いました。


・・・・ウールや麻、ポリエステルなどに二次加工をして新しく表現した「有松鳴海絞」・・・・

「有松鳴海絞(ありまつなるみしぼり)」は、
江戸時代より、愛知県名古屋市の有松地域(有松絞り)と、
鳴海地域(鳴海絞り)を中心に生産されている伝統的な絞り染めで、
木綿の絞りの手拭や浴衣地が代表的。
「括る・縫う・巻く」の3つの基本動作で、
手蜘蛛絞り、疋田三浦絞り、雪花絞り、鹿の子絞り、帽子絞りなど
100種類以上の絞りの技法が生み出され、様々な柄や形が作られます。
これが「有松鳴海絞」の最大の特徴となっています。

今回の『T・N JAPAN』には愛知県絞工業組合から
スズサン、(有)絞染色 久野染工場、(株)山上商店の3社が出展。
いずれも、伝統工芸品とは一線を画す、
現代のライフスタイルに根差した「有松鳴海絞」の
新しいクリエーションを展開しているメーカーや工房です。


・・・・左から藤井祥二さん(絞染色 久野染工場)、村瀬裕さん(スズサン)、
山上正晃さん(山上商店)・・・・

愛知県絞工業組合の理事も務める、「スズサン」の村瀬裕さんは、
「有松鳴海絞」の企画・製造・販売を行うかたわら、
絞りの体験教室や講習会など、
絞りの楽しさや可能性を広げる啓蒙活動にも力を注いでいます。

木綿に施す伝統的な「有松鳴海絞」だけではなく、
ウールや麻、ポリエステルに伝統的な括りや縫い取りの絞りを行い、
さらに塩縮加工、シュリンク加工、縮絨、ヒートセットなどの二次加工を施す、
新しい「有松鳴海絞」を開発。
「有松鳴海絞」の技法が、和の分野だけにとらわれることなく
ファッションやインテリア分野など、もっと自由に表現できるものとして
新たな価値を創造し続けています。


・・・・ヒートセットを施し、形態を安定させたベルベットの絞り。
シルクやポリエステルにヒートセットを施すことで、まるで不思議な
生物のような立体的な表面感を出すことに成功しました・・・・

絞り卸製造業の(株)山上商店の山上正晃さんは、
主に製品の企画を行っています。
絞りの加工業者さんに発注し、製品化し、販売していく役割です。
新しいもの作りのマーケットの開拓なども行っています。


・・・・ウール100%に「絞り」+「縮絨」「染色」「抜染」の組み合わせにより
様々な表情があらわれることを示した、サンプルボード・・・・


・・・・ウール100%の加工しない生地・・・・


・・・・「手筋絞り」をして、黒く「染色」してから「抜染」したもの・・・・


・・・・「巻き上げ絞り」をして、藍色に「染色」してから「縮絨」を弱くかけたもの・・・・


・・・・「手筋絞り」をして、グレーに「染色」したもの・・・・


・・・・赤に「染色」してから「縮絨」を強くかけたもの。
膨らんでいる部分は“コイン”を入れて絞った「コイン絞り」・・・・

「スズサン」の村瀬裕さんは海外への進出も積極的で、ドイツで息子さんが
絞りの会社を作り、絞りのランプシェード、クッション、ストール、
ファブリックなどをヨーロッパやアメリカなどで展開しています。


・・・・海外販売も展開している「スズサン」の手絞りのランプシェード・・・・


・・・・非常に大胆でモダンな柄のクッション・・・・

今回の展示会にはいらしていませんでしたが、
(有)絞染色 久野染工場の代表である久野剛資さんは、
絞り作家としても活躍されている方です。
伝統的な和装絞りはもとより、
三宅一生をはじめとする国内外のデザイナーの作品、
舞台衣装、インテリアなど、幅広い分野を手掛けています。
久野さんもやはり、受け継がれてきた絞りの技術を
後世にも伝えていきたいと、名古屋芸術大学から
インターンを受け入れたり、見学者のために工房を開放したり、
体験教室なども開催しています。
今回の展示会にはインターンの藤井祥二さんがいらしていました。
インターンから久野染工場に入社する学生さんも少なくないようで
村井さんも卒業後の進路を期待されていました。


・・・・「板締め絞り」のウールのストール(左)・・・・


・・・・「帽子絞り」をして縮絨したウールのストール(右)・・・・


・・・・リネンに絞りを入れ、アルカリシュリンクを施したもの(左)・・・・

久野さんもまた「有松鳴海絞」を伝統工芸品に終らせるのではなく、
伝統に縛られることなく、垣根を取り払い、
もっと自由に表現していくことを望んでいます。
そのためには科学技術を利用して表現することも必要です。
伝統的な「有松鳴海絞」からしてみると、
“邪道” とも言われるかもしれませんが、
今の生活にマッチし、地域が活性化していくなら
時代とともに素材も表現も変わってもいいはずだと…。


・・・・絞りを入れた墨染め。シュリンク加工やヒートセットを施したもの・・・・


・・・・若いクリエーターとコラボした絞りのレギンス。
板締め絞りのポップな色・柄使いが新鮮です!・・・・

芸大の学生さんや、若いクリエーターがつくる絞りは
既成概念から解き放たれて、
新しい発想で非常に面白いものが仕上がってくるといいます。
久野さんも村瀬さんも、自分たちが受け継いだいいものを
次の時代につないでいくために、
惜しみなく技術や知識を伝えています。
山上さんは、それを形にしてプロデュース。
熱い3人の想いは、確実に若い人たちに伝わっているようです。

2013・2014A/W 『T・N JAPAN東京展』Vol.3日の出紡織(株)

投稿日:2012/ 11/ 12  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

ものづくりに職人魂を注ぐ、全国のテキスタイルメーカーの合同展
テキスタイル ネットワーク ジャパン(T・N JAPAN)』が開催されました。
2013・2014A/Wのテーマは「職の革新〜糸にこだわる〜」。
糸にこだわった個性的なメーカーが揃いました。

愛知県一宮市の「日の出紡織(株)」は、
“カシミヤの概念”を広げてくれました。
ブースの前に無造作に掛けられている麻袋の
ドンゴロス(またはホップサック?)の
隣りの素材が“カシミヤ”と知り、ビックリ!
さっそく光﨑社長にお話しを伺いました。
※因みに「ドンゴロス」はコーヒー豆などを入れる麻袋。
「ホップサック」は、ビールのホップを入れる麻袋のことです。


・・・・無造作に掛けられているドンゴロスとカシミヤ。
その下にあるのはヴィンテージ加工を施されたハリスツイード・・・・

ドンゴロスの隣りにあるカシミヤは、
ドンゴロスそっくりに織られたカシミヤ100%。
スペック染めにしてムラ感を出し、ホップサックツイードのように
ザックリと織りあげ、洗いをかけた無骨な仕上げです。
「カシミヤドンゴロス」と呼びたいくらいの粗野感があります。
しかし触ると…まさに、ふんわり柔らかのカシミヤの“きもち良さ!”
この見た目と、触ったときのギャップがたまらなく新鮮です。


・・・・左はジュートの麻袋。右はカシミヤ100%・・・・

通常、カシミヤ100%をこのくらいザックリ織って、洗いをかけると
くたっとコシのない織物になってしまいますが
この織りには特殊な仕掛けがあり、張り感を出しているといいます。
ある素材を交織しているのですが、それが何かは企業ヒミツとか…


・・・・まさに麻袋の表情です!けどカシミヤ100%・・・・


・・・・織りの裏側。これが企業ヒミツの交織!ウレタンかな?何かしら…・・・・

光﨑社長は、今回は「きもちいい」をテーマに
カシミヤやツイードなどで、新しい加工表現に挑戦したといいます。
“高級品”のイメージがつきまとうカシミヤは、
ラフにカジュアルに仕上げて、もっと普段使いに。
かっちりしたツイードは、かなり着込んだような風合いや色合いに。
紅茶染め、錆染めなど、試行錯誤で“経年表現” を試みました。


・・・・左は、ロンドンのハリスツイード協会の商標マークを付けた
ハリスツイードそのままの生地。
右は、その生地をヴィンテージ加工したもの。
まるで3世代受け継がれてきたハリスツイードのジャケットのように、
ハリスツイード特有のごわごわ感がなくなり、
柔らかな風合いと、経年したような色むら感が特徴の生地に
仕上げられています。
ハリスツイード協会の許可済みの仕上げ加工とのこと・・・・


・・・・張り感のある英国羊毛と柔らかなカシミヤを交織したツイード。
とてもソフトで「きもちいい」仕上げです・・・・


・・・・左のヘリンボーンツイードは、微妙なムラ感を出して、風合いもとてもソフト・・・・


・・・・真ん中のカシミヤのホップサックツイードには
微妙にラメが入っています。(拡大したもの)
カシミヤをラスティックなホップサックに織り上げ
さらにキラキラ感をスパイス的に入れている…この正反対の組み合わせが
まさに2013・2014/AWのトレンド!・・・・


・・・・これは、トレーナーに使われる「裏毛編み」のカットソーですが、
表は綿、そして裏パイル部分がふわふわのカシミヤなのです!・・・・


・・・・裏(右のグレーの部分)は起毛パイルのカシミヤ!・・・・

2013・2014A/W 『T・N JAPAN東京展』のパンフレットには
日の出紡織(株)が下記のコメントを載せています。

ほん・ぽう(奔放)3回の裏
・常識や規範にとらわれないこと。
・自分のおもうままに振る舞うこと(さま)。
・自由でありボーダレスなモノづくり。


・・・・ナチュラルヘアのカシミヤニット。
麻ひもで縛った演出もいい感じ・・・・


・・・・長年着馴染んできたようなピリングやネップ風の
表面感の仕上げも「きもちいい」です・・・・

従来ある素材を、見方を変えて仕上げ加工で
新しい価値観に変えていく。
これも現在もの作りのトレンドとなっている「リノベーション」の
ひとつの表現だと思います。
今回の展示会はまだ研究段階なので、まずはみなさんの
反応を確かめることが目的。
価格面はこれから検討していくようです。
素材の魅力はしっかり訪れた方のハートを鷲掴みです。
実売に向けてぜひ頑張って欲しいものです。

「タンゴ ファブリック マルシェ」Vol.2世界を魅了する<遊絲舎>の藤布

投稿日:2012/ 11/ 11  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

「ちりめんの里」で知られる、京都・丹後産地の
織物メーカー19社が、東京・代官山で産地の素材展
タンゴ ファブリック マルシェ」を開催しました。

緻密でスキのない高度なテキスタイルが多い展示会の中で
一際目を惹いたのは、節のある粗野な糸で織られたテキスタイル。
それは藤の蔓の皮で織った「藤布(ふじふ/ふじぬの)」でした。
織ったのは「遊絲舎(ゆうししゃ)」。


・・・・「藤績み(ふじうみ)」の実演も行われていました。
「藤績み」とは、藤の表皮を細かく剥いて手で績み(繋ぎ)
長い糸にしていく作業のことです。後ろにあるのが織った「藤布」・・・・

「藤布」は、縄文時代より織られていた“原糸の布”ともいわれる織りです。
藤は日本では広く分布しているため、
手軽な繊維として各地で織られていましたが
綿が栽培されるようになってから急激に衰退。
木綿の栽培が難しい山間部などにわずかに残るのみとなり、
今では丹後が「藤布」を唯一織リ続けている希少な産地となっています。


・・・・「藤布」は藤の蔓の皮(中皮)を剥ぎ、乾燥させたものを用います・・・・


・・・・「藤績み」して、長い糸状にしたもの・・・・


・・・・藤の繊維のラフ感がいっぱいの「藤布」・・・・

「遊絲舎」の前進は、明治中頃創業した
丹後ちりめんの織物メーカーでしたが
現代表である小石原将夫さんが80年代に、
日本から消滅したと思われていた藤布の存在を知り、
帯地や着物地などで現代の織物として蘇えさせました。
多くの賞も受賞し、昨年はパリで開催された『プルミエール・ビジョン』の
世界の匠工房13社を集め話題となったエリア「メゾン・デクセプション」に
招待展示されています。


・・・・父と同じ藤織りの世界に入った小石原充保(こいしはら みつやす)さん・・・・


・・・・藤の表皮を細かく剥いたもの。米ぬかを付けながら「藤績み」をします・・・・


・・・・粗野な藤の皮の「藤績み」は手が荒れるかと思いきや、
「米ぬかを付けてやるので、逆に手はとてもきれいになります」と
きれいな手を見せていただきました・・・・

現在は小石原将夫さんの息子さんの充保さんも
父の後を継ぎ、今回の展示会でも「藤績み」の
実演パフォーマンスを見せるなど、頼もしい活躍をしていました。
「遊絲舎」が織る「藤布」は、藤糸と絹糸を交織した帯地が中心ですが
和紙糸と交織したもの、ショールなど新しい試みも行われています。



・・・・絹糸との交織。生成りの部分が粗野感があらわれている藤糸・・・・

・・・・和紙糸と藤糸を交織した「藤布」・・・



・・・・シンプルでモダンな帯地・・・・

「遊絲舎」は、来年2月に行われる『プルミエール・ビジョン』にも
出展が決まっているようです。
「オンリーワン」の強みを見せ、
今後ますます注目されるメーカーになりそうです。

丹後の伝統技術を駆使した新素材を!「タンゴ ファブリック マルシェ」Vol.1

投稿日:2012/ 11/ 11  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

「ちりめんの里」で知られる、京都・丹後産地の
織物メーカー19社が、東京・代官山で産地の素材展
「タンゴ ファブリック マルシェ」を開催しました。
(主催:丹後織物工業組合/丹後ファッションウィーク開催委員会)


・・・・・「タンゴ ファブリック マルシェ」のパンフレット・・・・・

 丹後地方は、日本最大の絹織物産地で、
その歴史は古く、約1200年前の奈良時代からともいわれています。
現在も日本の着物の白生地の約60パーセントを生産しており、
京都・西陣の生産基地として無くてはならない存在です。
近年は、新しい販路を求め、
伝統的な技術を駆使した服地や服飾小物を提案。
また、化合繊やバイオベース繊維と組み合わせたり
様々な後加工を施した複合的な素材開発にも力を入れています。


・・・・3階では服飾雑貨や小物を展示。高品質&リーズナブルな商品として
スカーフを提案するところも増えています・・・・


・・・・ちりめんの雑貨を提案した「(株)一色テキスタイル」・・・・

残念ながら展示会には最終日の閉館ぎりぎりに
飛び込んだため、ゆっくり取材ができず、
また、クローズアップした素材の撮影ができなかったので
素材の素晴らしさを写真でお伝えできないのが悔やまれます。

丹後産地の素材は、さすが着物素材産地とあり
テクニカルで緻密な織りが多く見られました。
他の展示会では見たことのないような織りもあり
改めてその技術の素晴らしさは目を見張るものがあります。


・・・・2階は「洋装フロア」。左端にスカーフのようにかかっているピンクの生地は
ゴースのような透け感のある、シルク100%のチェックの先染め織物。
とってもステキでした。セリシンを抜いていないものは張りがあり、
抜いたものはソフトな仕上げです:大善(株)
(クローズアップしてお見せできないのが残念です…)・・・・


・・・・環境に配慮したエコなもの作りに力を入れている大善(株)は
高耐熱性ポリ乳酸繊維を使用したテキスタイルを提案・・・・


・・・・イエロー、オレンジーピンクなど、今シーズンのトレンドカラーを
打ち出した展開。左:(株)大江/右:吉村機業(株)・・・・


・・・・産学公コラボ作品。23年度は上田安子服飾専門学校など
4校とコラボして、丹後産地の活性化を図る事業もしています・・・・


・・・・お土産に頂いたのは、丹後織物工業組合が販売している
入浴液『まゆのお風呂』。セリシンの効果でしっとり、つるつるです!・・・・

2013・2014A/W 『T・N JAPAN東京展』Vol.2宮下織物(株)

投稿日:2012/ 11/ 10  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

ものづくりに職人魂を注ぐ、全国のテキスタイルメーカーの合同展
テキスタイル ネットワーク ジャパン(T・N JAPAN)』が開催されました。
2013・2014A/Wのテーマは「職の革新〜糸にこだわる〜」。
糸にこだわった個性的なメーカーが揃いました。

「濡れ巻き整経」でシルクサテンのドレス地を織り上げる唯一の織物企業

まず一番に伺ったのは、山梨県富士吉田の「宮下織物(株)」です。
宮下織物(株)は、細番手・高密度・ジャカードを中心とした
先染織物が特徴で、
シルクブロケード、サテンやタフタのウエディングドレス生地など、
フォーマル分野を得意としています。


・・・・ホログラムジャカードや、ゴージャスなカットジャカード・・・・

富士吉田には、今年の8月に産地見学のバスツアー
ヤマナシ ハタオリ トラベル』で訪れ、
宮下織物(株)のテキスタイルデザイナー、宮下珠樹さんより
「濡れ巻き整経」でつくったシルクサテンのお話しを伺っていました。
また、「シケンジョテキ」のブログ
「濡れ巻き整経」のプラチナのような輝きの
「経玉(へだま)」という糸を巻いた塊や、
サテンの生地に魅せられていたので
今回の展示会はとても楽しみにしていました。


・・・・「濡れ巻き整経」の「機巻き」作業を行う、武藤うめ子さんの写真・・・・

「濡れ巻き整経」とは、通常は機械で行う整経を、ほぼ手作業で行う
山梨県郡内織物産地独特のシルクのたて糸整経技術です。
生糸を水で湿らせて柔らかくすることで
地合いが引き締まり、コシが強く丈夫になり、
非常に美しい光沢のある緻密な織りを生み出します。
しかし手作業で行う「濡れ巻き整経」は
気の遠くなるような時間と手間がかかるため、衰退の一途をたどり
後継者はほとんどおらず、職人さんは高齢化。
作れる方はほんのわずかです。

「濡れ巻き整経」の様子は、「シケンジョテキ」のブログをご覧ください。

「経枠」作業
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/03/blog-post_12.html

「組み込み」作業
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/03/blog-post_13.html

「機巻き」作業
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/03/blog-post_14.html


・・・・「新小石丸」を用いた「濡れ巻き整経」のシルクサテン。
生成りの上品な色合いです・・・

残念ながら、今回は「経玉(へだま)」は見ることはできませんでしたが
(かなり大きなものらしいです)
皇后御親蚕(美智子皇后が育てられている蚕)と同じ品種の
「新小石丸」を用いた「濡れ巻き整経」の
シルクサテンを見ることができました。
「経玉(へだま)」やサテンの素晴らしい輝きはぜひ
「シケンジョテキ」のブログでご覧ください。


・・・・リズムのある波形が衝撃を和らげ
優しく小物を包み込む小物用トレー『cune(クーナ)』・・・・

宮下織物(株)とプロダクトデザイナー ムラタ・チアキさんが手掛ける
『メタフィス』と協同開発した小物用トレー『cune(クーナ)』も
「濡れ巻き」のような輝きをもつポリエステルサテン生地です。
手でぎゅっとつかんだようなシワ感を求めたムラタ・チアキさんの難題に、
テキスタイルデザイナーの宮下珠樹さんが見事に応えました。
クッション性のある波形状は、よこ糸にポリウレタン糸を使い、
糸の性質で布の伸縮性と自然な凹凸感をあらわしています。
まるで布が呼吸しているようなイメージを持つことから
「レスピリズム・ファブリック」と名付けられています。
洋服やクッション、マットレスなどでも展開されます。
洋服になったデザインを見てみたいものです。

2013/2014A/Wは、“目の錯覚で浮き出る柄”を提案

2013/2014A/Wは、ジャカードが浮上しているシーズンとなっていますが
本来ジャカードを得意とする宮下織物(株)は
さらに“立体感”を特徴にしたテクニカルなジャカードを提案。
糸を切りっ放しにして柄を浮き立たせたカットジャカードや、
ホログラム糸で柄が浮き上がるような錯覚をあたえたものなど
輝きのある糸をポイントにした
大柄でゴージャス感のあるものが多く見られます。


・・・・ホログラム糸を使ったジャカード・・・・


・・・・ラメのアニマルジャカード・・・・


・・・・ゴージャスなカットジャカード・・・・


・・・・ラメ糸使いのカットジャカード・・・・


・・・・目の錯覚で砂絵のようなラメ糸部分のバラが浮き出て見えます・・・・

東京造形大学と富士吉田産地の蜜月(?)関係!

山梨の富士吉田織物産地は、4年程前から東京造形大学とコラボした
「Fujiyama Textile Project」を行っています。
若いクリエーターの感性を取り入れ、新規市場の開拓を目指すもので
約半年かけて新しいテキスタイルを開発していきます。
かなり完成度の高いものが仕上がり、
今回の宮下織物(株)のブースにも、一見クロコダイルやリザードのような
立体的なモダン柄のジャカードが展示されていました。


・・・・東京造形大学の学生とコラボしたジャカードでつくったバッグ・・・・

じつは、宮下織物(株)の若手デザイナー、渡辺絵美さんは
東京造形大学の卒業生。
富士吉田産地とのコラボがきっかけで入社することになりました。
同じようにコラボがきっかけで富士吉田で働いている同期には
「シケンジョ」の臨時職員として活躍している
高須賀 活良さんがいらっしゃいます。
とくにテキスタイル学科は、学生時代から授業で織機と親しんでいるので
かなりのレベルまでのことができ、入社して“即戦力”になるそうです。
福岡県出身の渡辺絵美さんは、
自分の手で自分の感性を生かしたテキスタイルが
つくれる喜びを語ってくれました。


・・・・デザイナーの渡辺絵美さん・・・・


・・・・渡辺絵美さんが初めてつくった「ナバホ」(右)と
「タテガミテキスタイル モサモサ」(左)・・・・


・・・・子供服メーカーに依頼されてデザインした生地・・・・

富士吉田産地は、学生コラボがそのまま産地の
若手後継者育成へと繋がり、企業と学校の関係が
上手くかみ合っているようです。
これは「東京に近い産地」という地の利はもちろんですが、
シケンジョ」が中心になり、上手に産地をまとめながら
今の時代の空気感にあった発信をしているからではないでしょうか。
特に他の産地と違うのは「デザインの発信力」が
できていることだと思います。


・・・・ジャカードをテキスタイルの魅力溢れるカルトナージュにして展示・・・・

一般的に産地の中心となって技術支援や経営支援を行っている機関は
「技術系」の職員が多く、「デザイン」「トレンド」などの
ソフト面への気配りが少ないような気がします。
「シケンジョ」はとても“見せかた”や“発信のしかた”が上手です。
これは…それに関わっている「人の力量」としかいえません。
担当者自身から、この仕事が「好きだから」「楽しいから」という気持ちや
「産地のいいものを伝えたい」という熱意がとても伝わってきます。
そういうところに、同じような気持ちを持つ人たちが
集まってくるのだと、思わずにいられませんでした。