2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン(素材ポイント)

投稿日:2012/ 07/ 23  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

尾州産地本来の特徴を生かした
付加価値の高いもの作りを提案しようと
有力テキスタイルメーカー15社が結束。
「オール尾州」のプロジェクトチームで
『尾州マテリアルエキシビジョン』が開催されました。

Vol.1では展示会の「トレンド・コンセプト」を、
Vol.2では主な「素材ポイント」をお伝えします。


・・・・インデックスコーナーの素材への関心も高く、春夏のアピールも上々・・・・

「ウールの尾州産地」にとって、春夏素材の強化は大きなテーマ。
今シーズンは「夏の快適性」に工夫を凝らした
素材開発に力が入れられました。
まずは、2013春夏のトレンドとしても注目される「ファンシー・ツイード」。
リング糸やスラブ糸、フィルム糸、モール糸などの意匠糸を用い、
フィラメントとスパンの交織、カラーミックスなど
立体的で変化に富む表情感が特徴です。
春夏は綿、麻、シルクなどの天然繊維を中心に、
ポリエステル、ナイロン、アクリルなどが混合され
軽さと通気性がポイントになっています。
ラッセルツイードなどのニットツイードも多くあります。


・・・・からみ織りのファンシー・ツイード(中伝毛織)・・・・

中でも大きく浮上しているのが「からみ織り」です。
「からみ織り」は、糸をからませたり捩(もじ)ったりしながら織る
透け感のあるザックリした織物。
独特の隙間ができるので通気性に富み、
しかも糸同士が絡み合っているので
ザックリしていても糸寄りを起こすこともなく
組織も安定しています。
肌触りもさらっとしており、まさに夏素材にはうってつけ。
ツイードなどにも多用されています。


・・・・春夏注目の「からみ織り」もたくさん提案されています・・・・

トリアセテート、キュプラ、レーヨンなどのセルロース系繊維のように
繊維そのものに「接触冷感機能」を持つものや
家庭で洗濯ができるなど、手入れが簡単な
「イージーケア性」も重要なポイントです。

中伝毛織(株)旭化成せんい(株)と共同開発した『クール・ジェイド』は、
冷感接触のあるベンベルグ(キュプラ)のマイクロスパンと
クーリング効果がある翡翠の粉末を練り込んだナイロンとの複合素材。
二重のクーリング効果で、冷感性の持続力が抜群に高くなり
しかもソフトなタッチという特徴があります。


・・・・中伝毛織と旭化成せんいがコラボした『クール・ジェイド』・・・・

着心地の良さ、イージーケア性、クーリング効果という観点で、
丸編みや経編みのニット素材も増加。
キュプラやビスコース、テンセルなどの複合素材などで提案しています。


・・・・セルロース短繊維と組み合わせたハイゲージニット。
後染めでもトップ染めのような表現を持つものも提案(中伝毛織)・・・・


・・・・ビスコースと綿のブレンド。ソフトで品のいいドレープがあり
ドライタッチの生地に仕上がっています(中伝毛織)・・・・

旭化成(ベンベルグ)、三菱レイヨン(トリアセテート)、レチング社(ビスコース)など
原糸メーカーとコラボして糸から開発したり、
異素材の混紡、交編、交撚などの複合素材で付加価値をつけた
尾州産地の春夏素材が注目されます。
オリジナリティのある魅力的な高品質素材が評価される一方で
やはり少し高い価格面の懸念も拭い去れないようですが
それを乗り越える「価値」があるとのアパレルの声に期待も高まっています。

2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン(トレンドコンセプト)

投稿日:2012/ 07/ 22  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

日本の毛織物生産の約70%を占める愛知県の尾州産地は、
高品質なウール産地として世界的にも知られ、
中でも複合や意匠糸による素材作りを得意としています。
しかし、近年は輸入品の増加などにより産地の力が低下。
産地の活性化が図られる中、
安易な価格競争から脱却し、尾州産地本来の特徴を生かした
付加価値の高いもの作りを提案しようと
有力テキスタイルメーカー15社が結束。
「オール尾州」のプロジェクトチームで
『尾州マテリアルエキシビジョン』が開催されました。

昨年5月からスタートし、3回目となる今回の2013春夏展では
「ウール産地=秋冬素材」の固定概念を払拭しようと
綿、麻、シルクなどの天然繊維とその複合繊維を中心にした構成。
得意とする意匠糸使いのファンシー・ツイードをはじめ、
織りや編み、撚糸、紡績、原料開発など、
多方面から「夏の快適性」を追求した素材が提案され
春夏素材としても活躍する尾州産地の魅力をアピールしました。
(主催は一宮地場産業ファッションデザインセンター

トレンドコンセプトは、
ファッション情報のコンサルティング会社である
フランスのネリーロディ社が担当。
会場の中央に3つのトレンドテーマによるコーナーが設けられ
出展企業は、トレンドコンセプトをもとに開発した
テキスタイルを展示しています。
まずは、『2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン』の
トレンドコンセプトをご紹介します。


・・・・トレンドカラーを糸染めしたコーナーが人気でした・・・・

2013春夏のカラートレンドは、モノクロームから脱却し
ユーモアのセンスを取り戻し、ポジティブでエネルギーのある方向へ。
「カラーセラピー」のような役割の色がトレンドとして浮上しています。

(1)再生エネルギーの源となる「ホワイト」。
今シーズンを支配する重要なカラーです。
(2)平穏をもたらす「繊細なパステル」
(3)砂漠に見いだす緊張感を和らげる永遠不変の「ミネラルカラー」
(4)再生の希求となる力強い「ビビッドカラー」
エレガントなスタイルに単色で用いたり
温かみのあるベージュと組み合わせます。

1. NOMADO(遊牧民)

古代文明をインスピレーションにしたテーマ。
遊牧民(ノマド)のスピリット、スピリチュアル、
内面の休息や平和などがキーワード。
<カラー>
ホワイト系と砂漠の風景のような色調
(塩の砂漠、砂塵、砂丘などのカラー)
<素材>
カフタンやカディコットンのような手織り風自然素材のイメージ。
蚊帳風のウールボイル、洗い晒しのガーゼやクレープ、
砂粒のようなシネ効果のある素材など。

2. CANYON(キャニオン)

グランドキャニオン、アリゾナ、ユタ、アルゼンチンを舞台に、
広大な空間と野生感が漂うテーマ。
リュックス感のあるガウチョスタイル(南米のカウボーイ)などがイメージ。
<カラー>
乾燥した大地、テラコッタの色。大陽で干からびた緑と調和する。
<素材>
野性的でラスティックな風合い。スラブをイメージに、
ネップを効かせたオットマン、ひび割れ、乾燥したセラミックの風合い。

3. EASY(気楽さ)

50年代にインスパイアされた快楽的で小粋なレトロスタイル。
豪華なカルフォルニアの別荘を夢見るようなライフスタイル。
<カラー>
ノスタルジックで陽気なカラー使い。
単色使いもするが、2色使いやグラデーションがポイント。
ニュートラルな地色に、色味を遊ばせたストライプやジャカードなどで。
<素材>
着やすさと着心地の良さがポイント。
カジュアル感やストレッチ性のあるもの。
ギャバジン、キャンバス、バスケット織り、ダブルフェイス、
密度の高いものが特徴。

 

竹原あき子先生の『縞のミステリー』

投稿日:2012/ 07/ 14  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

縞のミステリー』を読んだ時に、
「なんて面白い本だろう!」と思いました。
残念ながら『テキスタイル用語辞典』の執筆が終っていたので
もっと早くこの本に出会っていたら…と、悔やまれるほど。
国内外の縞にまつわる話しが本当に良く調べられており、
しかも端的に無駄のない巧みな文章で語られています。


・・・・『縞のミステリー』の表紙はアフリカのアシャンティ族の
「ケンテ」。この複雑な縞柄が、実は単語を組み合わせた文字のような
役割になっているというから驚きです!・・・・

私は特に「伊勢」の話しが好きです。
かつて伊勢は松坂、河内と並び木綿縞の一大産地であり
「伊勢木綿」は伊勢神宮へ全国から「お伊勢参り」にやってくる
観光客の名物の土産物でした。
伊勢は、日本中からの情報が集まる土地です。
観光客は最新の農業技術、最新のファッション、
踊りや歌などの芸能も仕入れて持ち帰ったといいます。
ものだけではなく、実生活に必要なノウハウまで持ち帰るという
実務型の旅だったのです。
伊勢木綿や伊勢型紙などの伊勢の物販をはじめ、伊勢の行商人さえも
“伊勢”と名のつくものが有名ブランドとなりました。


・・・・竹原先生から見せていただいた「唐桟縞(とうざんじま)」。
これが17世紀頃のものか今調べているところだそうです・・・・

時代劇でおなじみの「縞の合羽(かっぱ)に三度笠」の姿は
実は、近江、松坂、伊勢の商人たちが
縞の木綿を全国に売り歩くための行商の衣装…
いわば歩く広告塔だったのです。
そんな話しなどがびっしり詰まった名著、ぜひ一読をお勧めします。

その著者である竹原あき子先生に、先日初めてお会いすることができました。
もともとは工業デザイナーである竹原先生は、
現在は和光大学名誉教授。
プロダクトデザイン、デザイン史、衣装論などその専門分野は幅広く
知識の豊富さが、奥深い文章を生み出しているのだと思いました。


・・・・木を中心にした先生のオフィスは、窓が広く明るく、
とっても心地良い素敵な所でした・・・・


・・・・とってもチャーミングな竹原先生。ナチュラルでユーモアがあり、
一目会った瞬間から人を虜にする魅力が一杯!・・・・


・・・・先生が古着屋さんで見つけた「唐桟縞」のもんぺ。
あちこちに継ぎが当てられており、それがパッチワークのようで
いい味を出しているのです・・・・

『縞のミステリー』は、木綿の町、浜松の「遠州縞」の笠井町出身で
布に囲まれて育った先生の、思いが込められた一冊。
次の執筆のテーマもすでに決まっており、今準備にかかっているそうです。
著書の『縞のミステリー』へのサインをお願いしましたら
「次の本は?」という、嬉しい一言を書いてくださいました。
私も頑張らねば!


・・・竹原先生からサインをいただきました!・・・・

さらなる発進力を!「TLF第86回東京レザーフェア」VOL.3

投稿日:2012/ 07/ 03  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

TLF第86回東京レザーフェア」取材の第3弾です。
TLFでは、一般の方も参加できる体験イベントや
デザインコンテストが開催されるのも特徴です。

毎回好評な一般公募のデザインコンテスト「TLF革のデザイン展」は
自由な発想で描く「アイデア部門」と
実際に作品を制作する「制作部門」の2つがあります。
今回のTLFでは一次審査を通過した2012年応募のデザイン画が展示され
来場者投票が行われます。

「アイデア部門」は、その後にインターネット投票が行われ
両方合わせた投票数で9月に入選作を決定。
最優秀作や優秀作などが発表されます。
「制作部門」は、来場者投票により二次審査通過作品が選出され
通過者には作品を制作していただき
12月の「第87回東京レザーフェア」で入選作を展示。
最優秀作や優秀作などが発表されます。


・・・・2011年度の「制作部門」と「アイデア部門」の受賞作品コーナー・・・・


・・・・「制作部門」の最優秀作と優秀作は、イタリア・ボローニャで開催される
リネアペッレ見本市会場でも展示されます・・・・


・・・・「アイデ部門」の最優秀作の「革の花札」。
メディアでも取り上げられ話題となりました。制作は主催者側です・・・・


・・・・第一次審査を通過した2012年度の応募作品。
来場者投票による二次審査が行われます・・・・


・・・・「革の仕上げに触れてみよう!」の体験コーナーでは、
職人さんたちがドラム染色、柔軟加工、表面加工、手もみ加工などを実演し、
体験参加も行っていました・・・・


・・・・ドラム染色の展示です・・・・


・・・・「革とシルクの手織り」コーナー。TVカメラやレポーターなどが
取材を行っていました・・・・


・・・・兵庫県、和歌山県、埼玉県などの革の産地も参加しています・・・・


・・・・和太鼓などの伝統産業も・・・・

久しぶりに伺った「TLF東京レザーフェア」でした。
トレンドセミナーやデザインコンテスト、体験イベントなど
来場者参加型のイベントも多く、
出展社ガイドには「資材トレンド情報」が載せられたり
「TREND LABORATORY」のトレンドブックを制作するなど、
とても丁寧な情報発信が行われていました。

限られた予算の中で、内容の濃いものにしようという
主催者側の努力が伺える温かみにある展示会です。
しかし残念なことに、パンフレットも展示の仕方も
「ただ並べました」というような印象が否めなく、
「感性」や「デザイン性」の発進力の弱さが気になりました。

“川上”や地域産業の展示会が今ひとつ伸び悩んでいる原因のひとつに
「ソフトに重きを置かない(お金をかけない)」ということが指摘されています。
現代の消費者の心をとらえるには「視覚効果」が不可欠で
暮らしにおける「デザイン性」がますます重要になっている時代です。
技術や文字情報だけではなく、
そこにビジュアルの表現力がともなって発信される
「デザイン力」をぜひ強化していただきたいものです。
「東京レザーフェア」が東京スカイツリーとともに
地元産業のシンボルとなるよう、心から応援しております。

「TLF第86回東京レザーフェア」VOL.2/                     富田興業(株)のトレンド発信力

投稿日:2012/ 07/ 02  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

TLF第86回東京レザーフェア」のなかでも特に
トレンド発信力が目立っていた「富田興業(株)」をご紹介します。


・・・・2013春夏のテーマは「NUDE〜色氣・元氣〜」・・・・

2013春夏は「NUDE〜色氣・元氣〜」をテーマに
明確なカラートレンド打ち出した、視覚効果のある展示。
今シーズンの核となる白のバリエーションをはじめ
ネオンカラー、ヌードカラー、メタリック、透明感のあるパステルカラー
などが提案されています。

一見、色の打ち出しに見える素材も、よく見ると微妙な後加工が施され、
質感や色感に奥行きを感じさせるものが増加しています。
洗い加工やダスティ加工などの極端なものは姿を消し
透明感をポイントにしたきれいめな方向へ。
箔、型押し、パンチング、色ムラや陰影感、濡れたような光沢など
2次加工、3次加工などで色や質感に高度なテクニックを加えた
繊細な表現に新しさを感じます。


・・・・サンドやアスファルト、黄味、ピンク味など微妙な色味のある
ホワイトのバリエーション。
マット、パウダリー、ガラス、エナメル、パールなどのバリエーションが
ありますが、エナメルも薄塗りのような上品な光沢の方向にあります。
白×ヌードカラー、白×メタリックカラー、白×ネオンカラー、
白×パステルカラーなど、白はすべてのカラーの基本色・・・・


・・・・注目のネオンカラー(蛍光色)。エナメルだけではなく、
エキゾチックレザーにもネオンカラーなどの鮮やかな色使いが新鮮・・・・


・・・・ヌードカラーはナチュラルレザーだけではなく、
パウダリーな加工やマットなメタル加工など
ラグジュアリー感があるものも・・・・


・・・・白やヌードカラーにラグジュアリー感をあたえる
エナメル、パールなどの光沢素材や、ミラー箔などのメタリック素材。
明るい色調や少しムラ感を出した軽いタッチに新しさを感じます・・・・


・・・・「白」が重要となる今シースンは、少し色褪せたような軽さや
透明感が重要です。革の質感や色調も単調なものではなく、
型押しやムラ感、重ね色使いのある色調で陰影や濃淡を出すなど
2次加工のテクニックが増加しています・・・・


・・・・型押しのドット柄も、よく見ると箔を乗せて小さなドットを型押しした上に
さらにドットを型押しするという、3段階の工程・・・・


・・・・パステルカラーなど明度が増した今シーズンのカラーレンジ・・・・


・・・・ナチュラル感のある素材は、パンチングや型押しなどで
より繊細さを出したレーシー感覚が今シーズンのイメーージ・・・・


・・・・トライバルタトゥのような型押しと色使い・・・・


・・・・レザーにもレーストレンド。レザーにレースを貼ったもの・・・・


・・・・型を抜き切らず残した、プレシャスなパンチングレザー・・・・


・・・・エキゾチックレザーは、スネークやリザードのように「斑(ふ)」の
細かなものに人気が集まっています・・・・


・・・・色使いも単調な単色ではなく、絵筆からぽたぽたと雫を落としたような
自然な濃淡のドット柄。グラデーションな色使いで透明感を表現しています・・・・


・・・・ヴィンテージ感のある加工も白っぽさやきれいめがポイントです・・・・


・・・・今シーズンのコンセプトカラーの「グリーン」を全身にまとった
アートディレクターの藤田晃成さん。パンツは“鯉のぼり”から作ったものとか!
富田興業(株)はスタッフのファッションも存在感を放ちます・・・・


・・・・ファッションディレクターの峠原(たおはら)直実さん。
展示会のブースのディレクションや革のカラーディレクションなど、
トータルなディレクションを行います。
今回の展示会のGREEN WALLも彼女の制作です。
ファッショングッズMD入門』の著書もあるファッショングッズの専門家・・・・


・・・・副資材メーカー(株)丸上とコラボした、2013春夏のトレンドシューズ。
スエード×メタリック、ナチュラルカラー×ネオンカラーなどの使い方が新鮮・・・・

トレンドやイベント性を発信「TLF第86回東京レザーフェア」VOL.1

投稿日:2012/ 07/ 01  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

トレンド発進力や集客性のある展示会を目指そうと、
最近の素材展はかなりイベント性に力が入れられてきました。
TLF東京レザーフェア」は、靴やバッグなどの
素材(革や雑材)・副資材(パーツ)の展示会です。
本来は地味な展示会ですが
メーカーや問屋さんばかりではなく、小売店や異業種、
学生や一般の方にも浅草の皮革産業をアピールしようという狙いもあり
一般の方の入場も可能。


・・・・たくさんのイベントを用意しての開催です・・・・


・・・・正面にはスカイツリーもそびえる会場の都立産業貿易センター・・・・

浅草らしいアットホームな雰囲気を漂わせながら
トレンドセミナーの開催やトレンドコンセプトブースをはじめ、
革加工のワークショップ、一般公募による革のデザインコンテストなど、
学生や一般の方も楽しめる企画が盛りだくさん。
さらには資材トレンドを載せた出展者ガイドブックなど
役立つ情報もしっかり発信しています。

毎年5千人以上の来場者があるという
会場の浅草・都立産業貿易センター・台東館は
東京スカイツリー開業も手伝ってか
たくさんの方で賑わっていました。
(6月21日・22日開催:今年の来場者5,645


・・・・TLFの出展者ガイド・・・・


・・・・ガイドブックには2013春夏資材トレンドや、
革の仕上げ加工の知識などを載せています・・・・

イタリアの世界最大の国際革見本市の「LINEAPELLEリネアペッレ」の
トレンドセレクション委員ロベルト・リッチ氏による
2013 春夏トレンドセミナーを開催。
リネアペッレのブースではテーマ別のトレンドカラーと素材が展示されています。


・・・・リネアペッレのブース。トレンドテーマごとに素材や福資材などで
センスよくイメージ作られています・・・・


・・・・2013春夏の本命は白。微妙な色味や質感の新しい白のイメージです・・・・

TLFの「トレンドラボラトリー」でも2013春夏のトレンドカラーと素材を展示。
(株)ジャルフィックによるトレンドブックも制作されていました。
リネアペッレやトレンドラボラトリーの2013春夏のトレンドは、
後日「ファッショントレンドnet!」でお伝えします。


・・・・「トレンドラボラトリー」のパンフレットより・・・・


・・・・「SIMPLISM(典雅)」「POOF GARDEN(光と風)」「PARADE(歓喜)」の
3つのトレンドテーマで構成・・・・

「極めのいち素材」のコーナーでは、各社得意ワザで作り上げた
“渾身の一点”を展示。来場者の人気投票を行い、
次回のTLFで発表展示されます。


・・・・前回の投票で選ばれた上位作品・・・・


・・・・真剣に選び投票する来場者・・・・

常にトレンドを発信し続ける副資材の企画販売の(株)丸上
貼り絵のようなアイディアでスタイリッシュなパーツを提案。
トレンド配色など、わかりやすく提案力のある展示です。


・・・・貼り絵のようなシューズに付属パーツを載せて提案・・・・


・・・・トレンド性の高いカラーや素材使い・・・・


・・・・透明感のあるカラフルなヒールも注目・・・・

トレンド発信を得意とする皮革販売の富田興業(株)のブース。
2013春夏のトレンドカラー別のレザー提案も強烈なインパクト。


・・・・入り口の佇まいからトレンド発信・・・・


・・・・スタッフもお客様もお洒落な方が多い・・・・


・・・・トレンドを意識したカラーテイストで素材を構成・・・・

 

 

美しく、かつ快適。トリアセテートの「COOLバランス」Vol.2

投稿日:2012/ 06/ 15  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

三菱レイヨン・テキスタイル2013春夏展示会の第2弾です。

今年2月のプルミエールビジョンに出展し
海外ブランドから人気の高かったベスト15がピックアップされていました。
日本では、ソフトな肌触りを求める傾向があり
トリアセテートとポリエステルの組み合わせがほとんどですが
海外ではトリアセテート100%も定番素材として使われ
黒を中心に縮緬風などの需要もあります。

・・・・2013春夏のトレンドカラーのオレンジ・・・・


・・・・プルミエールビジョンのPICKUP15・・・・

最近ではセリーヌなど、トレンドセッターのブランド需要も増え
鮮やかな色使いやスポーティな表現など
随分トリアセテートのイメージも変化してきました。

布帛やカットソーが中心の「ソアロン」ですが
「接触冷感性」「吸湿速乾性」「ウォッシャブル性」などが見直され
横編みニットでも注目されはじめました。


・・・・美しい光沢と着心地の良さを訴求する「ソアロン」の横編み・・・・

トリアセテートは“黒”の発色がいいことから
ブラックフォーマル素材として定評があります。
これは繊維に溝があるため、乱反射することで
深みのある染色が可能になるのだといいます。
今回の展示会ではレースのトリアセテートにも力が入っていました。

・・・・美しいピンワークでドレーピングしたドレス。
ピンワークのできるデコレーターさんもほとんどいらっしゃらなくなったようです。
三菱レイヨン・テキスタイルでは今後も続けていきたいと話していました・・・・


・・・・通常、エレガントなレースはレーヨン素材が多いですが
トリアセテートのレースだとウォッシャブルが可能になります。
トリアセテート無地とレーヨンレースの切り替えのデザインに起っていた、
「水洗いすると縮みができてしまう」という問題も解消されます・・・・

トリアセテート素材は、米沢、新潟、尾州、桐生などの産地とコラボしたり
企業とコラボして、さらなる機能素材にも生まれ変わっています。
先日の尾州産地の『尾州マテリアルエキシビジョン』でも
清涼感のある春夏の有力素材としてトリアセテートの提案も目立っていました。

・・・・蝶理(株)に「ソアロン」の原糸を提供し、蝶理(株)が開発したコート用の機能素材・・・・

今回の展示会で貫かれていたのは
「“いい素材”はトータルなバランスでみると、決して高いものではない」
ということです。
このことは最近の低価格傾向と対極にあらわれてきているもので
いい素材、いいクォリティの商品を着ることは結果的には長持ちしているし、
「いいものを着ていることが自分の自信にも繋がる」ということに
気がつきはじめた人も多くなってきました。
新しい日本のマーケットの動きに期待がかかります。

美しく、かつ快適。トリアセテートの「COOLバランス」Vol.1

投稿日:2012/ 06/ 14  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

三菱レイヨンが世界に誇るトリアセテートブランド「ソアロン」が
クールビズの快適素材として人気が高まっています。


・・・・「あいだのチカラ」をテーマにした三菱レイヨン・テキスタイル(株)の
2013春夏の展示会で、初めてお披露目された「ソアロン」の原糸・・・・


・・・・メタリックのような美しい輝きです・・・・


・・・・まるでクモの糸のよう!・・・・

トリアセテートは、天然パルプから生まれたセルロース系素材。
植物繊維のナチュラル感と合成繊維の機能性の両方の性質を併せもち、
世界でも生産は三菱レイヨンのみ。
エレガントな高級素材として知られていましたが、
水洗いもでき、肌触りにひんやり感のある「冷感接触」効果をもつことから、
2013春夏展示会では「ソアロン」の優れた持ち味の機能性に
スポットが当てられました。
トリアセテートの「美しく」「涼しく」「イージーケア性の高い」バランスの良さを
2013春夏の素材要素の一番に掲げた力の入った展示会に、
多くの来場者が訪れていました。

三菱レイヨン・テキスタイル(株)のテキスタイルクリエイター
藤野圭子さんがとても丁寧に説明してくださいました。

展示会ではトリアセテートの接触冷感素材ブランド
「COOLCUTE(クールキュート)」を大きくアピール。
トリアセテートは、適度な水分を含むため、
肌に触れて水分が蒸発する時の気化熱により
ひんやりとした感触を生み出します。
展示会の来場者には女性限定で、
「COOLCUTE」のTシャツがプレゼントされました。


・・・・「COOLCUTE」のタグは、接触冷感が0.2以上の素材につけられます・・・・

藤野さんは、同じ木材パルプから作られる再生繊維のレーヨンと
半合成繊維のトリアセテートの違いについて説明してくださいました。
両方とも接触冷感がありますが、レーヨンが水に弱いことに対し、
トリアセテートは家庭で水洗いができます。
セルロース系繊維でありながら熱セット性に優れているため
ポリエステルなどと同じようにプリーツ加工ができるのもレーヨンとの違い。
また後加工を施さずとも形態安定していることも特徴です。


・・・・ソアロン(左)と、シルク100%(右)の洗濯テスト比較・・・・

今回の展示会では2タイプの風合いと機能性を持つ
ソアロンのブランドが打ち出されています。
そのひとつが『CREPIENE(クレピーヌ)』を代表とする
「洗える・シルク調素材」です。
このシルク調素材は、“タッチ”が「ソフト&ドライ」であることがポイント。
通常の強撚糸はドライ感が強すぎてかたくなり、
デリケートな日本人の肌に合わないので
ドライタッチを出しながらもソフトな膨らみ感を出しました。
柔らかな糸を強撚にすることで実現したそうです。

もうひとつのポイントはイージーケア性です。
同じデザインのブラウスを「トリアセテート60%・ポリエステル40%」と
「シルク100%」素材で、水洗いを10回繰り返した比較を展示。
前者の縮みは「たて.07%、よこ0.0%」、後者は「たて14.3、よこ5.3%」の
変化が見られました。


・・・・シルキータッチの『CREPIENE』を使用した製品・・・・


・・・・洗い効果を出した『CREPIENE』。2013SSのカラー使いです・・・・

お客様の要望で多いのは「家庭で洗える」ということです。
いくら安く製品を買ってもクリーニング代がかさむ素材は不経済。
シルクのようなエレガントさを持ちながら、水染みが落ちないシルクとは違い
ホームクリーニングが可能で、イージーケア性があることが
ソアロンの大きな魅力です。


・・・・ソアロン(左)と麻100%(右)の洗濯テスト比較・・・・

もうひとつのソアロンの打ち出しは「便利な・麻調素材」です。
従来の麻調合繊のイメージを一新させたもので、
後染めで麻のような“カスのこし”を表現したり
本物と見間違うような麻の色調やスラブ感を出したものです。
一見すると、光沢感のある上質なリネンのようです。

天然の麻100%で気になるのは、シワや、のび・ちぢみなど洗濯による型くずれです。
特にミセス層の多い百貨店ブランドでは、この辺を気にするところが多く
それを解決したのがソアロンです。
「トリアセテート65%・ポリエステル35%」と「麻100%」の素材の
同じデザインのパンツを洗濯10回の水洗いのテストで比べてみました。
結果は前者が「たて0.2%、よこ0.0%」後者が「たて3.0%、よこ2.0%」の
縮みの結果が出ました。
シワの具合もソアロンはほどよいシワに、麻100%は大きなシワがあらわれています。


・・・・新リネン調素材の『IAS(アイアス)』。
熱セット性があるのでプリーツ加工が可能です・・・・

麻調素材では、リネンのような素材『IAS』の他、
フィラメントで綿麻素材のような膨らみ感を出した『FIROL(フィロル)』も提案。
需要が高まっている春の麻コートに対応する麻調素材です。
洗いをかけたり、見え方がナチュラルであることもあり
今年はアパレルのヤングブランドからの需要も伸びているようです。
ヤングブランドでも、多少値段は高くてもシワを気にせず持ち歩け
家庭で洗濯できるイージーケアさは魅力。
トータルで見ると、決して高いものではないと判断されてきたことが伺えます。


・・・・左はリネン調素材『IAS』、
右は春の綿麻調コート素材として提案している『FIROL』・・・・


・・・・2013春夏トレンド意識したナチュラルカラーと蛍光カラー配色・・・・


・・・・綿麻のような膨らみ感や洗いをかけたナチュラル感が、コート素材として魅力・・・・

今年2月のプルミエールビジョンに出展した人気素材のことなど
三菱レイヨン・テキスタイルの展示会のレポート第2弾も乞うご期待ください。

木肌をそのまま織り込む、世界初の「木織り」

投稿日:2012/ 05/ 25  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子


昨年初めて「木織り」を拝見したときは
本当に驚きました。
5月24(金)〜26日(土)まで開催されている展示会
boisette(ボワゼット)の「木織り」は、
木そのものをウッドヤーンにして織り込むものです。
まず木をカンナくずのように薄くスライスして
特殊なウレタン溶液に浸し柔らかくし
和紙を裏打ちして太さ0.6mmの糸状に裁断します。
これをよこ糸にし、たてにシルク糸を使い織り上げていくと
なんと、元の杢目の木肌が織り上がってくるのです。

・・・・たてにシルク糸、よこに木の糸を織り込むと
杢目が現れてきます・・・・

・・・・木を薄くスライスしてシート状にして和紙を裏打ちし、
糸状に細くカットします・・・・

これは「引き箔織り(ひきばくおり)」という
日本独自の織り技術を応用したものです。
薄いシート状に現れている柄を
糸状にしてその配列のまま織り上げるので
柄がそのまま現れてくるものです。
自動織機の引き箔織りで木織りができるのは
日本では桐生(群馬)と沖縄の2カ所だけそうです。

・・・・スカイツリーの東京ソラマチで販売されている墨田区の革とコラボした
木織りのサイフやカードケース・・・

・・・・屋久杉を織り込んだ帯・・・・

・・・・正面から見るとこんな感じですが・・・・


・・・・角度を変えると見え方が変わる「変わり織り」です・・・・

・・・・墨色のスチール椅子・・・・

・・・・年輪が密になっているところは色が染まりにくいので薄くなっています・・・・

今年の展示会では石巻の染織家の方とコラボし
「墨色」をテーマに(本物の墨染めではないそうです)
木目を活かした粋な墨色の新作を披露してくれました。
墨田区の革とコラボしたサイフなどの小物類は
スカイツリーの東京ソラマチの「すみだまち処(どころ)」に
区の特産品や伝統工芸保存会の職人の製品と並び
販売されています。

・・・・左は黒い縞杢のある「黒柿」、真ん中は秋田杉の「天杉」、
右は「桧(ひのき)」。桧はいい香りがしていました・・・・

・・・・1998年の群馬県の植樹祭のときに天皇陛下がお座りになった
木織りの椅子。陛下のサイズに合わせて作られています・・・・

・・・・屋久杉のランプシェード・・・・

・・・・リュウキュウマツのぬいぐるみ・・・・

・・・・釘を1本も使わない枡のような椅子・・・・

・・・・蓋を開けて中に収納ができます・・・・

・・・・椅子を製作した若い職人さん・・・・

・・・・ジャカードも織ることができます。これは下北沢一番街商店街振興組合と
コラボしたもの。シンボルマークを織り込んでいます・・・・

・・・・織り師の高橋隆男さん・・・・

木織りは技術的な面ばかりではなく
貴重な屋久杉(樹齢2000年以上)や、
天然秋田スギ(天杉:樹齢200年以上)、
リュウキュウマツなど、
貴重な原木を用いて織られることから
長寿のシンボルや、神社の木をお守りになど、
付加価値の高い縁起商品としての需要もあるようです。
今後の展開が楽しみです。

「(株)林与」麻一筋の、古くて新しい本物志向

投稿日:2012/ 05/ 25  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

2013 S/Sプレミアム・テキスタイルジャパン(PTJ)」でご縁があった
素材メーカーをご紹介します。

今回のPTJでは、近江の麻の老舗の(株)林与さんとコラボして
テキスタイル用語辞典』をご紹介させていただきました。

(株)林与さんと2日間みっちりご一緒させていただいたので
展示会の様子や、ビジネスマッチングのことなども
よくわかり、とても勉強になりました。
しかし、あまりにも一緒にいたので
取材をするのをすっかり忘れてしまい、
ほとんど写真を撮っていなかったのです。
(林社長ごめんなさい…)

林社長は、今回の展示会は
なかなかの成果があったと話していました。
新進デザイナーとのビジネスマッチングや、
中国など海外のお客様との商談にも
流暢な英語で、いつもと同じような感覚で
対応されていました。

(株)林与さんのお客様は、麻好きのお客様です。
麻に関してかなりマニアックなもの作りをしているので
それに惚れ込んだお客様がしっかりついているのです。
林社長の「麻のうんちく」を聞くのも楽しみで訪ねる方も
多いようです(林社長の人気ブログ「リネン日記」)

林社長は初めてブースを訪ねたお客様に
「うちは高いですよ」と、平気で笑いながら話されます。
「価格競争のもの作りはしません。
うちのような小さなメーカーは、
他のメーカーさんにはできないようなものを
作っていかないと、世界と勝負できないんですよ」
と話すように、時にはとんでもないものを作ります。

展示会で多くの方の目に留まったのが
明治3年創業の老舗の藍染屋である「紺九」とコラボした
ヴィンテージ・アイリッシュリネンを本藍染めにした生地です。

・・・・今回写真撮影ができませんでしたが、
これは昨年の「ジャパンクリエーション」のときのものです・・・・

今はもう手に入らない
幻のリネンといわれる「最高級のアイリッシュリネン」、
明治30年創業の麻の織元の「林与の老舗の技術」、
紺九4代目の「国文化財保存技術保持者の
森義男さんの本藍染め」、
この3つのコラボで、最高級の本藍染めリネンを仕上げました。
価格はなんとメーター40,000円!
0をひとつ間違えたのでは…と、驚かれる方も多く
「どうしてこれはこんなに高いのですか!」と
みなさん尋ねられます。
これはいわば林与の心意気を見せたデモンストレーション
ともいえるもの。
今回の展示会では、リアルクローズな素材として
インディゴ染料で染めたデニムを提案。
これもなかなか魅力的でした。

(株)林与さんの持ち味のひとつに
「古くて新しいもの作り」があります。
滋賀県の湖東地域にある会社には、山のような試験反や枡見本、
かつて織った布が無造作にストックされています。

(2010年11月撮影)

これはまさに“宝の山”なのです。
昔織ったものは、付加価値のある個性的な織りが多く
糸の状態も今のものより良いので
光沢があり、まるで麻とは思えないような洗練されたものを
たくさん見ることができます。

ここを尋ねてくるデザイナーさんは
“宝の山”から、自分の感性にぴったりくるものを探し当てます。
古いものの中に、新しいものが渦巻いているのです。
Milleturu(ミルツル)』のオーナーデザイナー
天野千鶴さんもその一人です。
展示会場に着ていらしたブラウスの生地は、
林与さんの昔織った本麻の枡見本から探し当てたもの。

・・・・ほっこりしたムードの『Milleturu』の天野千鶴さん。
生地からデザインしたオリジナルのブラウスが素敵です!・・・・


刺し子織りのドビーストライプですが
これをブランドネームに合わせた
「3本(ミ)・6本(ル)・2本(ツ)・6本(ル)」の本数の
ストライプにアレンジ。
オリジナルの柄に仕上げました。

林社長は、デザイナーさんとよく話し合われ
意向にそった生地を一生懸命に作ります。
生地は低速のシャトル織機で織られることが多いため
織る量や時間にも限りがあります。
製織が需要に追いつかないこともあり、
今回の展示会も発送が間に合わないため、
従業員の方を会社に残し、大きなトランクと引きリュックを背負い、
一人でいらっしゃいました。
前の日は徹夜したとおっしゃっていました。

それでもニコニコとお客様に対応し、
展示会が終わった次の日はミャンマーへ飛び立ちました。
近江の小さな麻メーカーさんが、もの作りのプライドをもち
世界をかけめくる姿は、カッコいいなあと思いました。
むろん、林社長はカッコなど全く気にする方ではありませんが…