「滋賀麻工業(株)」今の時代に繋ぐ、麻の伝統技術

投稿日:2012/ 05/ 24  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

2013 S/Sプレミアム・テキスタイルジャパン(PTJ)」でご縁があった
素材メーカーをご紹介します。

滋賀県の湖東地域は古くから「近江麻」の地場産業が発達し
近江商人を最も多く輩出した地域でもあります。
この地に昭和19年創業した滋賀麻工業(株)
近江麻のもの作りの伝統を受け継ぎながらも
新しいニーズに対応する新しいテキスタイル開発に
取り組んできました。

・・・・『羽衣上布』と名付けられた綿/麻の薄手織物・・・・

・・・・左はリネンの花。薄紫の愛らしい花です。右はラミー畑です・・・・

今回のPTJでは、「麻の軽さ・薄さ」を表現した綿/麻の交織を提案。
近江の国 余呉湖(よごこ)に伝わる羽衣伝説をイメージに
『近江 羽衣上布(はごろもじょうふ)』とネーミングした
軽羅(けいら:紗や絽のような薄い絹織物)のような
薄手の綿/麻織物です。

「上布」とは、上質な苧麻(ちょま)…ラミーともいいます…で
織られた薄手麻織物のことです。
『羽衣上布』のネーミングの織物は、涼しげな透け感と
「手もみ加工」によるたて方向のシボが特徴。
手もみ加工は、「近江ちぢみ」に見られる伝統的な加工で
「しぼ取り板」という洗濯板のような上で手もみ作業を行います。
手もみ作業により、強い撚りをかけたたて糸の撚りが戻り
たて方向にシボが生じます。
麻の硬さを和らげ、シャリ感とシボの凹凸感で空気の層ができ
フラットな生地にくらべ、肌に接する部分が少なくなるため
清涼感のあるさらりとした肌触りとなるのです。
現在の手もみ加工は最初は手で、あとは機械で行われています。

・・・・透け感と清涼感のある手もみ加工の「羽衣上布」・・・・

以前繊維が専門の大学教授から伺った話しですが
最近人気の「機能素材」と言われているポリエステルなどの
いくつかの「吸水・速乾素材」の吸水・速乾性を実験したところ
「昔ながらの綿や麻の楊柳やサッカー」の方が
優れているという結果が出たと話しておられました。
たとえば、綿や麻の楊柳が30分で乾くところが
「吸水・速乾素材」は1時間かかったといいます。

目新しさを求めて化学の新素材に走りがちですが
もう一度、天然素材や昔ながらの伝統加工を見直すことも
重要かもしれません。

「近江織物(株)」1856年創業の信頼と開拓精神

投稿日:2012/ 05/ 23  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

2013 S/Sプレミアム・テキスタイルジャパン(PTJ)」でご縁があった
素材メーカーをご紹介します。

滋賀県の近江織物(株)は創業1856年。
江戸時代に家業として麻織物を織りはじめ、
現在では、織物の企画、織布から仕上げ加工、縫製までをトータルに行う
県内でも有数の繊維メーカーに成長。
天然繊維、化合繊の短繊維の織物を中心に
様々な繊維を製織する「織布部門」、
仕上げ加工の「加工部門」、
繊維商社として活動している「営業部門」を揃えています。


今回のPTJでは、新しく立ち上げた「プリント部門」に展示を絞り
原糸、製織からプリントまで自社一貫生産で行う
無公害型のエコプリントシステムの
インクジェット奈染生地製造販売をアピールしていました。
スピーディでタイムリーな対応ができるのも特徴です。
また、他社にはない独自のインクジェットプリントシステムの
構築として下記の3つが提案されています。


(1)【連動プリント】
同じデータでプリント・先染め・ジャカードを表現できます。
デジタル対応ならではの技術です。


・・・・左はジャカード、右はプリント。一見、見分けがつきません・・・・


・・・・左はプリント、右はジャカード・・・・


(2)【立体プリント】
インクジェットプリントでは、キルティングやしわ加工など
凹凸感があるリアルな「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」の
表現ができます。


・・・・キルティングプリントと本物のキルティングを併用したもの。わかるかな?・・・・


・・・・しわ加工のプリント・・・・


(3)【型紙プリント】
型紙に合わせた自由なプリントができ
裁断してそのまま縫製ができるため
個性的な製品作りが可能です。


・・・・型紙通りにそのままプリントしています・・・・

・・・・そのまま裁断して縫うとこんな感じに!・・・

近江織物(株)の営業部参事の林さんは、
日本の綿紡績が海外生産へと移り
国内生産能力がほとんどないことを憂いていました。
そういう中でも近江織物(株)は整理加工を得意とし
海外で織られた綿生地などを、優れた加工技術を持つ日本で
仕上げ加工することも多いと話していました。

今回の展示会にもオーガンジー加工した
綿100%の平織りを展示していました。
現在ではオーガンジーはシルクや合繊のイメージがありますが
もともとは綿織物です。
細番手の強撚糸で織り上げたあと、酸で溶かして
透明感と張り感のある、かたい手触りにし上げます。
洗っても風合いはあまり変わりません。

・・・・ぱりぱりとした綿100%のオーガンジーが魅力的でした・・・・


・・・・プリントを施した綿オーガンジーもあります・・・・

近江織物(株)では、綿ローンのような薄地から
アラミド繊維(スーパー繊維と呼ばれる高強度なナイロンの一種)を
使用したユニフォームなどの機能性生地、
産業資材の厚地までの幅広いアイテムをカバー。
自社の総合力を活かし、さらに他社にはない付加価値をもつ
製品開発などを常に行いながら、1856年の創業以来
前を見て歩み続けています。
社訓の「共存共栄」の精神が、こうして長く続いている所以なのでしょう。

「東和ニット(株)」父息子3代、チュールにかける“研究者魂”

投稿日:2012/ 05/ 22  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

2013 S/Sプレミアム・テキスタイルジャパン(PTJ)」でご縁があった
素材メーカーをご紹介します。

展示会ではブース自体がそんなに目立たなくても
取材してお話しを聞いて、スゴイもの作りをしていることを知り
驚くメーカーがあります。
福井県の東和ニット(株)は、
1969年創業のたて編みのニットメーカーです。
(たて編みとは、たて方向に連結して編んでいく編み方で、
伸びが少なく、織物にも似たきっちりした
安定性のある編み地になります)
特にチュールを得意とし、パワーネットなども含め
自社開発した付加価値の高いもの作りをしてきました。


・・・左は社長の鈴木英彰さん(息子)、右は会長の鈴木直之さん(父)
この日は妹さんもお手伝いしていました。
ファミリー企業は温かな雰囲気でいいですね・・・

東和ニット(株)のようなニットメーカーさんは
「ニッター」と呼ばれ、ほとんどが
テキスタイルコンバータを通じてアパレルなどに
生地を提供しています。
東和ニット(株)は、素材メーカーと一緒に生地を開発したり、
研究を重ね、下着メーカーの難題に応える生地を開発するなど
“縁の下の力持ち”として活躍してきました。

しかし徐々に下着素材の需要も値段の手頃な中国製へと
移行しはじめてきました。
それに立ち向かうためには、付加価値の高いもの作りで勝負したく
自分たちの存在をもっと直接的にアパレルや
SPAを行っている企業などに知っていただきたいと
今回初めてPTJに参加しました。


・・・アパレルなどのみなさんにチュールの説明をする社長の英彰さん・・・


・・・今回は得意とするチュールやパワーネットに展示を絞りました。
風合いが柔らかで優しい肌触りの繊細なチュールです・・・

単なる“下請けメーカー”から“企画提案のできるメーカー”として
大きく方向転換しようと考え、
現会長である直之さんは、昨年息子の英彰さんに
社長職を譲りました。
いつまでも自分が口出ししていては、
息子がのびのびと仕事ができないし、
これからの時代は、新しい考えでやることが必要と判断したからです。

東和ニット(株)は、現社長の英彰さんで3代目。
「父は、どちらかというと学者肌なんです」と英彰さんがいうように
直之さんは研究好きで、難解なものに挑戦し
新しいもの作りをするのが得意。
ある時、大手下着メーカーから、通常はナイロンで作られる
刺繍入りのチュールを、耐久性を上げ、
洗濯による縮みがないようにするために
ポリエステルで編むことを依頼されました。
ポリエステルの場合、
刺繍をするとピンホールがあいてしまうことへの対処、
ナイロンよりも硬いポリエステル糸を
いかに柔らかな風合いに仕上げるかに、かなりの苦労を要しました。
しかし直之さんの研究者魂に火が付き、
なんとチュールそのものの構造を変えてしまい、その要求に応えました。
素材メーカーとの糸の開発段階では
顕微鏡写真をメールでやり取りしながらやったと笑っていました。


・・・柔らかな風合いが特徴のポリエステルの
エンブロイダリーチュール・・・


・・・通常、チュールは「六角目」が特徴ですが
直之さんが独自に開発したチュールは、
微妙な変形六角目です。素人目にはほとんどわかりません・・・

東和ニット(株)が使用している編機は
ドイツのLIBA社のラッセル編機です。
日本ではドイツのカールマイヤー社のラッセル機が多いのですが
先々代の社長(祖父)は、LIBA社のものを選びました。
編み上げた後の張り感など微妙なニュアンスが
カールマイヤー社のものとは違い
よそのメーカーには出せない味を出しているのだそうです。
「他とは違う」とい、もの作りの“研究者魂”は
おじいさんから受け継いでいるのかもしれません。


これは「失敗作なんですよ」と、英彰さんの失敗作も見ていただこうと
今回の展示会でお披露目したのは、綿/ナイロンのチュール。
幅が広くなりすぎて、後加工できる機械が存在しなくなったのが
その所以とか。
しかし、「これはこれでいい」とおっしゃっていただく
アパレルさんもあるので、今の時代の価値観のリサーチとして
「失敗作」も重要なのだといいます。


・・ほんの少しですが、こちらも試作品。
メタリック糸やシャンブレー調で編んだもの・・・

実は、英彰さんは、最初から家業を受け継いだのではなく
今までIT企業で働いていました。
そういう面では、思考回路も先代、先々代とは違う発想を
お持ちのようです。
未だ作られていない東和ニット(株)のホームページを
「私は形ばかりのものでもいいので早く作って欲しいのですが
息子は自分のイメージがあるようで、
かなり凝ったものを考えているのか
なかなか作ってくれないのですよ」と直之さんは苦笑していました。
どんな新しいホームページができるのか…
英彰さんの心意気があらわれるものと、期待しています。

 

 

「(株)パノコトレーディング」のオーガニックコットン哲学

投稿日:2012/ 05/ 20  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

2013 S/Sプレミアム・テキスタイルジャパン(PTJ)」でご縁があった
素材メーカーをご紹介します。

(株)パノコトレーディングは、
オーガニックコットンの原糸の輸入・販売をはじめ
生地の企画・製造・販売を行っている会社です。
「オーガニックコットンは、日本ではアトピーの方にも安心とか
使う側のメリットに目を向けられがちですが
実は生産者の貧困や不平等、健康への危害をなくす
大きな役割を担っているのですよ」と、
オーガニック事業部の長尾さんが熱く語ってくれました。

・・・インドのオーガニックコットンの作業風景・・・


・・・PTJのブース。グレーのパーカの後ろ姿の方が長尾さん・・・・

(株)パノコトレーディングでは、世界的にも有名な
オーガニックコットン・プロジェクトの『bioRe COTTON INSIDE』
『Swiss Cotton』などとパートナーシップを組み
原料の輸入のみならず、積極的にプロジェクトに関わり
持続可能な開発パートナーとして
インド、タンザニア、ペルーなどへの支援を行っています。


・・・『bioRe COTTON INSIDE』の商標マーク・・・

『bioRe COTTON INSIDE』は、スイスのREMEI社が
インド(1991年〜)とタンザニア(1994年〜)で行っている
オーガニックコットン・プロジェクトです。
オーガニックコットンを買い取るだけではなく、
この地域の人々が自立していくために、
有機農法に関する教育の場の提供、子どもの教育支援
生産者や地域の人々の健康に関するインフラ整備など
さまざまな仕組みを構築しています。

パノコトレーディングもインドのKalakhet村の
Animation Schoolの学校建設や運営のサポートをはじめ、
文具制服、スポーツ用品などを送ったり、
タンザニアのMwanyahima村には井戸を寄付しています。


・・・『Swiss Cotton』の商標マーク・・・

『Swiss Cotton』はスイスで紡績された糸のみに与えられる名称です。
『Swiss Cotton Organic』は、アメリカ産のスーピマ綿を使用し、
スイスで紡績したオーガニックコットンで、
シルクのような光沢感と滑らかな肌触りを持つ
最高品質のオーガニックコットンとして知られています。
パノコトレーディングでは、スイスのHermann Buhler社より
オーガニックコットンを輸入し、主に60/1、90/1の
細番手の糸を用いた生地を企画。
今回のPTJにも高密度なラグジュアリーコットンを提案していました。

ペルーからは、オーガニックコットンの世界的な先駆け企業でもある
『Bergman Rivera SAC』とパートナーを組み
オーガニックコットン・プロジェクトの『SACHAGREEN PROJECT』に参加。
生成り綿(WHITE COTTON)と
綿の原種とも言われる貴重な茶綿(WILD COTTON)を輸入しています。
生産量が減少している茶綿はペルーの生産者と契約栽培を行うことで
生産維持を図っています。

今回のPTJで、パノコトレーディングは
“素朴さ”“ナチュラル感”だけのイメージに偏りがちなオーガニックコットンを
新しいイメージで打ち出そうと4つの企画を提案しました。

【1】「ラグジュアリー」企画
90/1の極細のオーガニックコットンを使用した
高密度なラグジュアリーコットン企画。
シルキーな光沢のあるサテンやタイプライタークロスが提案されています。

・・・90/1の高密度サテン。品のいい光沢です・・・


・・・90/1の高密度のタイプライタークロス・・・

【2】「草木染め」企画
ブースで一際目を引いた鮮やかな色は、
草木染めのオーガニックコットンです。
草木染めでこのような鮮やかな色が出せるのかと驚きましたが
京都の染屋さんが2年がかりで開発したそうです。
草木染めの先染めチェックは、
山梨県の富士吉田のメーカーとコラボしました。
欧米では、オーガニックコットンを化学染料で染めることが
一般的になっているようですが、
パノコトレーディングでは草木染めで鮮やかさを表現しました。
とても新鮮でした。


・・・鮮やかな草木染めのオーガニックコットン・・

【3】「高野口パイル」企画
和歌山県の高野口はパイル織りの産地でもあり、
ベルベット、電車の椅子張りに使われるモケット、
国会議事堂にあるような高級椅子張りの
金華山織り(きんかざんおり)など
さまざまなパイル織りが織られています。
この高野口産地とコラボしたのが
こちらのモコモコ、フワフワしたパイル織りです。


・・・「チンチラ」と名付けられたオーガニックコットン・・・


・・・裏表に毛羽のある気持ちいいパイル・・・


・・・ポンキッキから名付けられた「ムック」・・・

モップのように毛足の長いものから、
リバーシブルになっているものなどバリエーションも豊富。
「チンチラ」、子供番組『ひらけ!ポンキッキ』の
毛むくじゃらのキャラクターの名からとったという「ムック」など
素材にはユニークな名前が付けられています。

【4】「刺繍」企画
刺繍を施した装飾的なオーガニックコットン。
ガーゼのラフ感と可憐な刺繍が優しさを増しています。


すでに「オーガニック=ブランド付加価値」ではなく
オーガニックコットンの新しい表現の時代に突入してきています。
既成概念を打ち破り、しかし本質は変えないもの作りの
パノコトレーディングに、多いに期待が高まります。

プレミアム・テキスタイル・ジャパン2013 Spring/Summer

投稿日:2012/ 05/ 14  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子


第3回目となる「Premium Textile Japan 2013 Spring/Summer
(以後PTJ)が5月9・10日に開催されました。
利便性のいい有楽町の東京国際フォーラムでの
開催ということもあり、国内外からの来場者で賑わい
かなりの手応えを感じた出展者も多かったようです。


今回はトレンドコーナーを設立。
2013春夏トレンド・ディレクションとして
「サマーバレンタイン」「アートピクニック」「女子力」「構造空間」の
4つのテーマが提案されました。

PTJは(社)日本ファッション・ウィー ク推進機構(JFW推進機構)が
主催する、付加価値の高いもの作りができる
テキスタイルメーカーの展示商談会。
ファッションマーケット再生に向け、
感動と共感の「オンリーワン」の価値を創り出し、
新しいクリエイションの連携を生み出していく事を目的に
62の企業(うち海外6社)が参加しました。


・・人気ブースの1955年創業の『(株)日本ホームスパン』。
昔ながらの手染 め・手紡ぎ・手織りのホームスパンの技術を受け継ぎながら、
企画から生産までを 自社で行うツイードメーカー。
世界のスーパーブランドからも注目されています・・・


・・・スポーツや産業資材など合繊長繊維織物で国内最 大の生産背景を持つ
『丸井織物(株)』。今年、マルイテックス「MARUITEX」を商標登録し、
ブ ランドとして立ち上げ、商品提案を行っています・・・


・・・昭和25年設立のカットソーの 縫製メーカー『カスガアパレル(株)』。
今回は、毛羽が少なく、吸水性に優れ、軽さが特徴の和紙カットソーを提案。
会場ではこのパンフレットを持った人も多く見かけました・・・


・・・明治25年藍染め工場と して創業した『坂本デニム(株)』。
藍染め技術をデニム染色に活かし、環境への負荷を大きく低減した
「エコ染色 システム さかもと染太郎」を提案・・・

毎回好評なのが、VIPバイヤーを紹介する「ビジネスマッチング」企画。
PTJのアテンドで有力アパレルや注目の若手クリエーターと
具体的な商談が進められます。
今回は海外市場への発信にも力を入れ
ジェトロ(日本貿易振興機構)が海外バイヤーの招聘(しょうへい)を
行い、中国から一流アパレル4社を迎えました。

今回、麻の老舗の「林与」さんで『テキスタイル用語辞典
販売する機会を得たおかげで、
2日間会場でビジネスマッチングの様子などもしっかり拝見。
PTJが小規模ながらも中味の濃い展示会となっていることを
確認できました。


9日の展示会終了後はPTJ出展者やバイヤー、関係者の
ビジネス交流会が開催されました。
JFW推進機構の三宅正彦理事長は
JFWが、国内はもとより海外への交流を積極的に進め
ビジネスの発展を図りたいと挨拶。
4月30日には枝野経済産業大臣がインドを訪れ
インドのアナン・シャルマ商工大臣と会談しました。
日本の中小企業が得意とする繊維産業や食、アニメなどの
「クリエイティブ産業」をインドに広めるために、
相互の企業間の連携や投資促進を進めることに合意。
人口12億の巨大市場のインド戦略に官民挙げての取り組みが
積極的に行われようとしています。


・・・挨拶をするJFW推進機構の三宅正彦理事長・・・

経済産業省は、東京をアジアの「クリエイティブ・ハブ」とする
「CREATIVE TOKYO」構想の一環として、
3月24日に銀座で初めての野外ファッションショー
銀座ランウェイ」を開催しました。
震災から一年を迎えるこの時期に
日本を元気にし、希望が持てるイベントとして、
日本の素材・産地・製造技術・クリエーションを世界に発信。
「JAPAN DENIM」をテーマに、カイハラ(株)などのデニムが
使用されました。


・・・挨拶をする経済産業省の渡辺哲也氏・・・

「CREATIVE TOKYO」構想は、
東京をアジアのクリエイティブ・ハブとする構想です。
これらのイベントの中心となり、
今後の繊維産業発展のキーマンともなる
経済産業省の
クール・ジャパン海外戦略室長/クリエイティブ産業課長の
渡辺哲也氏も挨拶されていました。

次回はPTJでご縁があった企業の取材をアップしていきます。

ホログラム箔金襴と、文化学園大学のファッションショー

投稿日:2012/ 04/ 23  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

(有)中村金襴(きんらん)工場が「ホログラム箔金襴」を織ることになった
いきさつをお話しします。

中村金襴工場は「引箔金襴(ひきばくきんらん)」という伝統的な技術を
従来の掛け軸用ばかりではなく、新しくインテリア部門も開発し
新たな市場を求め、昨年10月下旬には
中東のドバイで展示会も行っていました。


きらびやかな引箔金襴はゴージャス好きなドバイでも
きっと受け入れられると意気揚々と出かけましたが
しかし…見事に沈没…
見た目の派手なゴージャスさを好むドバイでは
渋みのある輝きは「地味過ぎ」て、ほとんど興味を示さなかったといいます。
日本の高度な技術も、ドバイの方々には関心外。
ドバイで人気だったのはインド製のきらびやかな織物でした。

中村社長は「なんとかしてドバイの人たちをアッと言わせたい!」と
日本に帰り、さまざまな素材や手法で新しい織物を試作。
引箔織りのホログラムもそのひとつで、
それが私のところに送られてきたというわけです。


ホログラムは、3Dの立体画像を記録した特殊フィルムのことで、
空間に浮かんだように見える画像を作り出すことができます。
光の当たり具合で色や模様がキラキラ変化し、
紙幣の偽造防止などにも使われている技術です。
これをフィルム糸状にして引箔織りの技法で織り込んだものです。
シート状のホログラムを貼った布はありますが
ホログラムを“織り込んだ”技術は非常に難しく
おそらく世界初ではないかと思います。

中村金襴工場が試作した「ホログラム箔金襴」は
一見ラメや一般的なフィルム糸で織ったもののように見えますが
見る角度により色の表情が変わるのは
ホログラムならではのものです。
織り方によっては、立体的な柄を
浮き立たせることも可能だそうですが
これにはかなり高度な技術を必要とします。


・・・テキスタイル企画コースの学生さんは『微細美』をテーマに
昆虫の体の美しさを表現・・・

文化学園大学服装学部の服装造形学科のショーでは
テキスタイル企画コースの学生さんが
「ホログラム箔金襴」を使用した作品を作りました。
当初より昆虫をテーマに企画しており、
玉虫のような質感の素材を探していたので
服装造形学科の鈴木教授や文化ファッション研究機構の森川機構長が
この「ホログラム箔金襴」を見た時に、“これだ!”と思ったようです。


・・・ショー終了後、ホログラム箔金襴を使用したドレスを撮影する
中国放送のカメラマン・・・


・・・アゲハチョウをイメージした作品。中に着ているドレスがホログラム箔金襴・・・


・・・靴もホログラム箔金襴で作っています・・・

中東のドバイへの進出計画、インテリア部門の開発など、
中村金襴工場の新しい試みに注目していた広島の中国放送は
今回の文化学園大学のいきさつにも興味を持ち
中村社長のドキュメンタリーの一環として
ショーを取材することになりました。
新しく生まれ変わった地元メーカーの古典素材が、
若い学生さんにどう表現されるかは
中村社長も多いに期待するところでした。


・・・メールなどで何度もやり取りしていましたが、
お会いするのは本日初めてで、感無量の中村社長(左)と森川機構長(右)・・・


・・・中国放送の取材を受けるホログラム箔金襴の作品を製作した学生さんの一人・・・

初めて学生さんのショーを見学した中村社長は
そのレベルの高さに驚いていました。
これからのファッション業界を担う学生さんや若いクリエーターに
素晴らしい技術を持った日本の伝統素材を知っていただき
新しいクリエーションで受け継いでいって欲しい。
そう願う中村社長の願いは、日本に残り少なくなった老舗メーカーさんの
切なる思いでもあるのです。


・・・中村社長の祖父の名前(カイチ)を付けたmodan kinran brand『CAITI』
を立ち上げ京都でデビューしました。ドバイのリベンジになるのか…・・・

 

 

中村金襴工場のホログラム箔金襴

投稿日:2012/ 04/ 22  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

4月20日に行われた文化学園大学 服装学部 服装造形学科の
ファッションショーに、広島のTV局の中国放送が取材に来ました。
取材したのは、広島県福山市の(有)中村金襴(きんらん)工場
ショーに提供した「ホログラム箔金襴(はくきんらん)」と名付けられた織物です。
そのいきさつと、中村金襴工場のことをご紹介します。


・・・中村金襴工場の中村幸弘社長と「ホログラム箔金襴」を使った
ショーの作品を撮影する広島中国放送・・・

中村金襴工場は昭和29年(1954年)創業で、
掛け軸や額装に使われる金襴や緞子(どんす)の製造では
日本の70〜80%のシェアを占める織物メーカーです。
「金襴」は金箔糸や金糸で模様を織り出した絢爛豪華な織物で、
金銀箔を織り込んだものは
「引箔織り(ひきばくおり)」「引箔金襴」ともいいます。

手織りだった引箔金襴を自動化する
「引箔金襴自動装置」を自社開発したことで
安価な提供が可能になりシェアを広げました。
現在、引箔金襴を織れるのは日本のみとなっており、
文字通り世界トップの生産メーカーとなっています。


・・・金襴を織る織機がずらりと並ぶ中村金襴工場・・・


・・・引箔金襴自動装置を取り付け、金襴が織られます・・・


・・・よこ糸に使われる金・銀・銅などの平箔(金箔糸)・・・

しかし、年々掛け軸の需要は減少。
新しい販売シェアを求めて中村社長は、新商品の開発や
インテリア部門の進出などに積極的に動き始めました。
そのひとつに、引箔織りの技術で「ホログラム」を織り込んだ
織物の試作があり、これを文化ファッション研究機構
森川陽 機構長に私が紹介したことで
中村金襴工場と文化学園大学の出会いが生まれました。


・・・見る角度により色合いが変化する「ホログラム箔金襴」・・・

森川機構長は引箔織りのホログラムに大変興味を示され
この素材を文化学園大学服装学部服装造形学科の
鈴木正文教授に紹介しました。
鈴木教授は4月に行われる造形学科のショーに使いたいので
中村金襴工場に生地の提供をお願いし、
中村社長はこれを心良く引き受けました。
伝統技術で新しく表現した素材を、
次世代のクリエーターに表現して欲しかったからです。


・・・4月19日の新聞では「ホログラム箔金襴」の紹介と
文化学園大学のファッションショーで発表される記事が掲載・・・


・・・『テキスタイル用語辞典』でも解説している「金襴」・・・

次回は「ホログラム織り」を織ることになったいきさつを
お話ししたいと思います。

山梨産地の注目ブログ「シケンジョテキ」

投稿日:2011/ 11/ 10  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

最近とても新鮮だったのが
山梨県富士工業技術センター繊維部(通称シケンジョ)の
ブログ「シケンジョテキ」です。

まず写真がものすごくキレイで
取材がとても面白い!
織機のこと、職人技のこと、生地のこと、産地のことなど
すーっと引き込まれます。
もちろん文章も素晴らしいのですが
「写真の力」がこれほど大きいものかを改めて感じました。


・・・これは「paki paki」と名付けられた生地の拡大です。
たて・よこに引っ張ることで、パキパキと張りと質感が変わります。・・・

このブログは高須賀活良さんという
東京造形大テキスタイルデザイン専攻の
大学院卒のデザイナーが、1年間の臨時職員契約で
作ってくださっていると伺いました。
産地への愛情のこもった、
とってもいいブログだと思いました。

また、この春には高須賀さんと同い年のテキスタイル系、
ファッション系の若者が3人、東京から山梨の織物企業に
就職したそうです。
若い感性を受け入れる空気も産地にできてきているようで
ことあるごとに気持ちがが伝わってきます。
今後どのように変わっていくのか
とても楽しみな産地だと思いました。

ぜひ訪ねてみたいものです。

また現在開催中(〜12/25日まで)の
東京のペラシティアートギャラリーの『感じる服・考える服』では
山縣良和(リトゥンアフターワーズ)さんの作品に
山梨産地のマフラー屋さんの
古いドビー織機が展示されています。

パンチングカードを使用したドビー織機で
最近ではなかなかお目にかかることの出来ないものですが
“現役”で使用されているものです。
1トン半もある自動織機がこの展示会のために
山梨から運ばれました。

「動物たちが0円紙幣を織っている」というコンセプトで
不思議な世界が表現されていますが
「紙を織る」というのはあながち不可能ではないようです。

「シケンジョテキ」のブログでは「新聞生地(誤字ではありません!)」が
見られます!!(ぜひご覧ください)

オペラシティの展示会もぜひ足を運んでみてください。
とても面白い展示会です。
この織機は来年は神戸にも巡回するそうです。

「No tie, You die.」(ネクタイなしには生きられない)

投稿日:2011/ 11/ 06  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

10月25〜27日に装苑presents「white」
合同展示会が開催され
山梨県絹人繊織物工業組合傘下の
ネックウエアを製造する織物企業グループ10社が
初出展しました。

昨年3月に原宿で開催された
YAMANASHIネクタイフェア」の続編で
トレンド情報発信で有名な
フランスの企画会社トレンドユニオンのディレクションのもと
「No tie, You die.」(ネクタイなしには生きられない)を
キャッチフレーズに
新しいネクタイのかたちを、ネクタイ生産日本一の
山梨県郡内産地が提案します。


今回の展示会について
山崎織物(株)の山崎社長が説明してくださいました。
(なんといってもこの笑顔が素敵です!)


(有)テンジン
「大きなネクタイ」をコンセプトに、麻素材とのリバーシブルなど
新しい提案がありました。


(有)羽田忠織物
ナチュラル感のあるモダンテイストにセンスの良さを感じます。


ツタキ織物
細いレトロなテイストがたまりません!


(株)郷田商店
テクスチャー変化と温かみのあるのあるストールを得意としています。


(有)リード
重厚感のあるジャカードが魅力です。

 

今回の展示会は
山梨県富士工業技術センターの五十嵐さんから
ご紹介を受けましたが
実は山梨県富士工業技術センターは
「No tie, You die.」の展示会をはじめ
富士山麓の織物工場で作り手に会うバスツアー2011
など、とてもユニークな企画や
アピールの“かっこよさ”“センスのよさ”で注目なのです。
このバスツアーは五十嵐さんの企画で
残念なことにもう定員になり絞め切りになってしまいましたが
ぜひ次の企画を待ちたいものです。

また、皆様にぜひご覧頂きたいのが
山梨県富士工業技術センター繊維部(通称シケンジョ)の
ブログ「シケンジョテキ」です。

「シケンジョテキ」は次回またご紹介しますので
お楽しみに!

 

装苑presents 合同展示会「white8」の哲学

投稿日:2011/ 11/ 04  作成者:Textile-Tree 編集長 成田典子

10月25〜27日に、文化学園が運営する
「文化ファッションインキュベーション」で
装苑presents「white」の合同展示会がありました。

「white」は、個性的で高いクリエーションを発揮する
若手ブランドやクリエーターを
サポートするためにスタートした合同展示会です。
文化出版局広報部の片岡朋子さんに
今回の展示会の特徴をお話しいただきました。

「White」の特徴は、
新たな出会いや交流・発見を生み出す場であることを目指し
展示会のみで終わらないこと。
また、ファッション誌『装苑』で紹介するなど
次世代を担う期待のクリエーターを
発掘・育生していこうというものです。
展示会には一般の方の来場も可能で、
クリエーターとの交流を通じ
ニーズなどの情報が交わされ、一部物販もあります。

今回で8回目を迎え、山梨のネクタイ産地も出展しました。

実は、文化出版局がこのような展示会を主催しているとは知らず、
山梨県富士工業技術センターの五十嵐さんから
展示会があると伺い初めて知った次第です。

『装苑』は、他のファッション誌とはコンセプトを異にし
単なる流行発信ではなく、
国内ファッションのもの作りの活性化に力を入れ
もの作りの現場や産地や工場、
若手クリエーターなどを取り上げた編集に特徴があります。

また『装苑』の創刊75周年を記念して
9月には伊勢丹新宿店とコラボレートしたセレクトショップ
Atelier de SO-EN」をオープン。
日本の47ブランドの別注アイテムが展開。
第2弾では、「伊勢丹×総苑×文化服装学院」がコラボして
学生の作品が販売されました。

今回の『white』の展示会も
山梨のネクタイ産地とコラボレートすることで
産地とクリエーターの相乗効果を狙ったもので
かなりの手応えがあったと
広報部の片岡さんが話しておられました。

同時期には同じ11階のフロアで『medium』が開催。
デザイナーが自分たちの表現方法で
自由にブランドを表現するグループ展で、
2回目となる今回は12ブランドが出展。
思い思いの展示方法がギャラリーのようでもあり、
デザイナーと来場者のアットホームな雰囲気にも好感がもてる
展示会となっていました。

また10階では日本、アジア、ヨーロッパを中心とする
世界の若手アーティストを集結した
『Collective showroom 4th』が開催。
個性的なブランドがそれぞれの世界観を打ち出していました。

このような洋服や服飾雑貨などのファッション展示会や
産地の展示会が集結することで
単独開催とは違う新しい来場者や、
出展者同士の交流から生まれるビジネスの展開を計ったものです。

メディアがクリエーターをサポートする力は大きく
日本のもの作りの活性化は、
こういうコツコツとした主催者側の企画で支えられていることを
感じさせられた展示会でした。

次回から、取材したいくつかのブランドをご紹介します。